隙?すき?好き?
いったい小池くんは何のことを言っているんだろう。


「ごめんなさい、良く聞こえなかったです」
「〜〜〜だから!木村のことが好きだって言ったの!」
「わたしを?」

誰が?

『俺、木村のことが好きみたいなんだけど』


小池くんが、わたしを 好き。
そんなの信じられない。だって小池くんはイケメンで、モテモテで、勉強はあまり得意じゃないようだけど、とっても優しくて。そんな小池くんがわたしを?


「言うつもりなかったのに・・・」


小池くんはヘニャヘニャとしゃがんで、頭を無造作に掻いた。生まれて初めて、愛の告白をされた。それはとても嬉しいことなんだけど、わたしは自分でもびっくりするほど落ち着いている。多分、小池くんのことを好きではないからなんだろう。いや、普通にすきだけど、愛とか、恋とかではなくって・・・。

そういえば小池くんも、わたしのこと好きって言ったけど、それは友達としての好きってことなのかな。そこらへんはっきり言ってなかったから、わたし勘違いしちゃったかも。でも、こんな風に照れ臭そうにしてる小池くんを見たことはない。小池くんと同じ目線になれるようにわたしもしゃがむと、「なんでそんなに冷静なの」と言われた。


「多分、小池くんが好きだけど、好きじゃないからです」
「はは、それって結構、ざんこく」


小池くんは悲しそうに笑った。


「黒子が好きなんだろ?」
「・・・そうみたいです」
「やけに素直じゃん」
「好きだって気づいたの最近だから、フレッシュなんですよ」
「フレッシュ?何それ!」
「新鮮なんです」
「ププ、面白い。木村のそーゆーところ大好き」


小池くんはわたしの髪をクシャ、と撫でてもう一度笑った。「黒子に振られたら俺のところへおいで」と言う。それは素敵なお誘いだけど、今のわたしには黒子くんしか見えない。口では『うん』と言ったけど、きっと小池くんはわたしの心を見透かしているだろう。

明日は日曜日でお休み、月曜日は文化祭の代休で休み。そしてわたしの保健委員当番。きっとバスケ部は部活動をするだろう。

告白しよう。いつか、必ず。

そう心に決めて、午後からもお化け役に没頭した。黒子くん、頑張ってるかな。









文化祭も終了し、片付けをする。黒子くんに話しかけようとしたけど、タイミングがつかめなくてできずに終わった。わたしが変に意識してしまったからだろうか。それとも別のところに原因があるのだろうか。だって片付けのとき、一度も黒子くんから近づいてくれることはなかったから。今まで機会があればよく話しかけていてくれたから、今日もそうかな?と思ったら違った。

好きで、近づいて、黒子くんのこと、もっと知りたいのに。


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