「寒いね」
「そうッスね」
「誰もいないね」
「夜ッスからねー」
「へっくしゅん!」
「大丈夫ッスか?」
「うん。平気」
「寒いッスからねぇ」
「ね、ね、黄瀬くん、誰もいないねぇ?」
「そ、そうッスね。それさっきも言ってたッスよ」
「うん。知ってるよ」
「どうかしたんスか?」
「どうかしたんスよ」
「あ!あ!マネしないでください!」
「へっへっへ」
「くしゅん!」
「大丈夫?」
「大丈夫ッス」
「黄瀬くんのくしゃみ可愛いねぇ」
「そんなことないッスよ」
「可愛かったよ。さすがモデルだね!」
「イヤ、それはちょっと意味がわからないッス」
「黄瀬くん、寒い。ぶるぶるする」
「風邪ッスか?」
「ううん」
「・・・・・・どーかしたんスか?」
「寒いから、ほら、あのー・・・」
「???」
「手でも繋ぎませんか」
「喜んで」
「わ、手、冷たい」
「あみっちこそ冷たいッスよ」
「冷えちゃったね」
「こうすればあったかいッスか?」
「おー黄瀬くんのポッケあったかい」
「ホッカイロ入りッス」
「だからかー。こんな歌あったよね」
「あったッスねー」
「寒いねー」
「もう寒いが口癖ッスね」
「そうだねー」
「寒いけど、寒いのも結構いいもんスね」
「なんで?」
「こーやってくっつく口実ができるじゃないッスか」
「ちょ!黄瀬くん!ここ道路!真ん中!」
「大丈夫ッス。それにさっき散々誰もいないねって言ってたじゃないッスか」
「もー」
「嬉しいくせに」
「そりゃまぁ、嬉しいですよ」
「俺も」
「すき」
「すき」


吐息が重なった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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