2号の散歩をしていると、公園に同じクラスの人がいた。一人で。冬休みに入ってからというもの、会う機会なんて無くなったので、見るのは久しぶりだ。彼女はせっせと雪をコロコロと転がし、小さな雪だるまを何個も作っている様子だった。公園の入り口のところに立って彼女を見ていると2号は 中に入らないの? と言いたげな様子で僕を見上げてくる。でも集中しているところにお邪魔していいとも思わないし、それに彼女と僕はクラスメイトではあるけれどそれほど仲良くはない。中に入る気がない僕を2号は楽しそうな足取りで引っ張り公園の中へと連れていく。

雪の上を歩くサクサクという足音に気がついたのか、彼女はこっちを見て、一瞬驚いた顔を見せたそのすぐ後に僕に向かって、もしかしたら2号に向かって、笑いかけてくれた。


「黒子くん!久しぶり!」
「木村さん、久しぶりです」
「ワンちゃん、可愛いね、黒子くんの?」
「いえ、バスケ部の犬です」
「そうなんだー」


彼女は手に小さな雪だるまを抱え、2号のところへ行くとその雪だるまを見せ、 わたしが作ったんだよー と言った。2号は嬉しそうに吠えて彼女の周りをはしゃぎまわる。たぶん2号は女の人が好きなんだと思う。


「雪だるま作ってたんですか?」
「うん。せっかく雪降ったんだしなんかしないと!と思ったの」
「そうなんですか」
「あ、ワンちゃんなんて名前なの?」
「テツヤ2号です」
「テツヤって、黒子くんの名前だよね?」
「部のみんなが僕に似てるって」
「あはは!確かに似てるかも!」


彼女はカラカラと笑って、手に持ってる雪だるまの頭と胴体を離し一つを僕に向かって投げてきた。不意を突かれたが故によけられなかった僕の頭にボシャっと雪玉がぶつかる。彼女は ごめんね。でもせっかく人数増えたんだし、雪合戦しようよ。 と言った。なるほど、彼女はさっきまで一人だ。でも今は僕に、2号がいる。二人と一匹で遊べば、それはそれはたぶん、楽しいものになるかもしれない。いや、かもしれない、じゃなくて、たぶん、じゃなくて、ぜったい。彼女と僕と2号なら。

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