「むわーーーー!!」
「大丈夫か?」


目の前にはみかんと炙ったスルメ。そして、湯気を立てている熱燗。金城くんは顔色をかえずにちびちびと飲んでいる。少しだけ、顔赤くなってるかもしれない。金城くんが美味しそうに熱燗を飲むものだから、今まで飲めた試しはないけど、わたしにも美味しく飲めるような気がして、ぐい飲みにほんのちょっと、熱燗をもらった。顔に近づけるとアルコール臭が鼻について、顔を少し逸らした。飲むと決めたからには女木村アミ、ぐいっといかせていただきます!


・・・冒頭に戻る・・・


イケルと思ったけどいけなかった。喉の奥からカーッと熱くなって、一気に酔いが回る。頭までぼーっとしてくるとは、やるな熱燗。


「金城くんよく飲めるね、熱燗」
「昔から飲んでるからな、慣れもある」
「わたし全然だめだった。金城くんが美味しそうに飲んでるから飲めると思ったのに」
「木村は一気に飲むからアルコールをきつく感じたんだろう」
「グイッと行った方が良いのかなと思って」
「ちびちび飲んだ方が良いと思うぞ」
「そうみたいだね」


火照った頬は簡単に冷えなくて、わたしはこたつに突っ伏した。


「どうしよ明日二日酔いになったら」
「そんなに飲んでないから大丈夫だろう」
「水分補給しなくちゃ」
「そうだな」
「酔っ払って立てない」
「そうか」


そう言えばお水でも取って来てくれるかなあと淡い期待をしたが、その期待は叶うことはなかった。水分、水分補給・・・。


「ほら」


こたつに突っ伏しながらうだうだしているわたしの頭を金城くんはぽんぽんと撫でる。重たい頭を金城くんの方に向けると、そこには奇麗に皮がむかれているみかんがあった。金城くんのごつごつした大きな手がみかんをこんなに奇麗にすることができるなんて。


「食べるか?」
「うん」


そのみかんをひとふさずつ分けてくれて、あーんと大きく開けたわたしの口に、金城くんはひとつずつ放り込んだ。じゅわーっとみかんの果汁が口に広がって、水分がどんどん満たされていく。みかんが最後のひとつになったとき、かぷっと金城くんの指ごと食べると、金城くんはぴくりと体を震わせた。


「あはは、可愛い」
「人の気も知らないで」


金城くんはわたしの頬を撫でて、わたしの顎を持ち上げた。
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