「ぁ、木村!」
「ん?」


冷蔵庫にビールが入っていないことを思い出し、仕事帰りに近所のコンビニに立ち寄りビールを二つ買った。あとおつまみも少し。コンビニから出て、信号待ちをしていると後ろから誰かわたしを呼ぶ声が聞こえた。


「あぁ、部長!お疲れ様です」
「お疲れ様。どうしたの、コンビニの袋なんてぶら下げて」

さりげなくわたしの手からコンビニの袋を持ってくれる。そんなに重い荷物ではなかったけど、少し楽になった。


「ビールの買い置きなくなっちゃったの思い出して、帰り道に買おうかなあと」
「そっか。いつもありがとう」


にこ、と会社では見せない顔をされて、わたしの胸は ドキン と高鳴る。


「今日は遅かったんだね」
「ちょっと残業したから」
「うん、知ってる」
「部長も残業してましたもんね」


そう、さっきまで一緒にいたのだ。一緒にいたというよりは一緒の部屋で仕事をしていた、が正しい。部長よりは先に残業を終わらせて出てきたが、わたしがコンビニに立ち寄ってる間に追いつかれてしまったようだ。


「晩御飯の準備、してないんですけど・・・」
「ああ、そうだよね」
「時間かかるけどいいですか?」
「んー。だったら晩御飯、どこかに食べに行かない?」
「ビールぬるくなっちゃいますよ」


そしたら氷入れて飲めばいいよ、という話になり、わたしは初めて部長とご飯を外へ食べに行くことになったのだ。

ごちそうさまでした、部長。

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