「うわぁ」


わたしって雨女なんだろうか。

今日はスーパーの特売日で、わたしは朝から気合いを入れてスーパーにやってきたのだ。部長は休日はお昼まで寝ている人なので、買い物の荷物持ちを頼めるわけはなく、わたしは一人で戦場へ行くことが多い。今日もたくさん戦利品をゲットし、意気揚々とマンションへ帰るつもりだったのだが、がっくりと肩を落とした。雨が降っていた。来るときは降ってなかったのに!

両手に大きなエコバック。タクシーに乗れるほど裕福じゃない。こんな雨の中どうやって帰ればいいのよ。



寝てる部長には悪いかもしれないけど、しょうがない、迎えに来てもらおう。ベンチに荷物を置き、部長の携帯へ電話をかける。数回のコールののち、プツッと途切れ、部長の声が聞こえた。

「おはようございます」
「・・おはよう」
「寝てましたか」
「ん、さっき起きた」
「今日は珍しく早起きですね」
「失礼だね、君」

ハハ、と部長は笑い、「それでどうしたの?」と聞いてきた。

「今雨降ってるじゃないですか」
「降ってるね」
「わたし、傘持って買い物出なかったんです」
「大雨なのに?」
「わたしが家出た時は降ってなかったんですよ」
「へぇ」
「それで、迎えに来てほしいなーなんて」
「わかった。じゃあ待ってて。いつものスーパーだよね?」
「はい」


数十分後、部長は迎えに来てくれて、わたしに傘を一本差し出した。ベンチに置いてあって大きいほうの荷物を部長は持ち、「帰ろうか」と言った。



もし、わたしたちが恋人同士だったら、相合傘で帰ることになったのかな?
なんだか悲しい気持ちになった。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -