「部長、申し訳ないです」
「どうかした?」
「ビールとつまみがありません」


「それは困ったなあ」と部長は言って、じゃあ買いに行こうか、とお財布をジーパンのポケットに突っ込んだ。






「すみません、わたしったらすっかり忘れてて」
「いや、たまにはこうして歩かないと。最近運動不足だから」


部長は優しい。背が高いから歩幅だって広いのに、わたしの歩くスピードに合わせてくれる。
仕事にはとても厳しい人だけど、実はとても優しい人なんだ。一緒に生活するまで、たぶん気付かなかったと思う。

大通りに出てすぐの、近くのコンビニにつく。部長は真っ先にビールの元へ行き、どれにするか悩んでいた。今日はいつも飲んでいるものじゃないのが飲みたいらしい。わたしはおつまみのところへ行き、適当に見つくろった。


「決まりました?」
「これにしようかと思って、でも・・・こっちも捨てがたい」
「じゃあわたしこっちにしますんで、部長はそれにしたらいいじゃないですか」

「そしたら両方飲めますよ」と言うと、嬉しそうに笑って「いいの?」と聞いてきた。
コンビニでビールを買うと割高だから、いつも買うときは一本ずつと決めている。ビールを買うときはたいていスーパーで、六本入りを買って冷蔵庫にしまっておくのだ。(買い足すの忘れて、たまになくなっちゃうんだよね・・・)


部屋に着くと部長はホクホクした顔でビールをあけ、わたしが買ったビールと、部長が買ったビールをコップに注ぎ、飲み比べをしていた。可愛い人なんだから。

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