「じゃあ出て行け!」
「出て行きますとも!せいせいするわ!!!」


一週間前、わたしは(元)恋人と同棲していたアパートから出て行くことになった。



理由は簡単。ヤツが浮気をしていたからだ。仮にも結婚を考えていた相手に。ヤツは結婚資金として二人で貯めていた貯金にも手を出していたことが判明。(今思い返せば、張り切って貯金をしていたのはわたしだけだった)

別れ話を持ちかけたら「出て行け」の一点張り。アパートはヤツ名義で借りていたものだから、わたしが出て行くのは当然なのかもしれない。お金はない。仲のいい友達はみんな同棲してたり結婚してたりで行くアテがない。実家は遠すぎるし・・・。

トボトボと歩きながら悩んでいるといつの間にか雨が降ってきて、傘なんて持ってなかったわたしは雨に打たれた。雨宿りのため、近くのバス停に避難し、雨がやむのをじーっと待っていた。いきなり別れ話を持ち掛けなければ良かったかも。ちゃんと次住むところ見つけてからにすればよかった。あ、でも貯金に手出されてたから敷金とか払えなくて借りられないかも。だからと言って、ヤツと一緒に住むのもムカつくし。
雨に打たれたから体が冷えてきた。くしゃみが止まらない。



「・・・木村?」
「部長・・・」


目の前には、わたしの上司が立っていた。


「どうしたの、こんなところで。風邪ひくよ」
「あ、えっと、住むとこ、なくなっちゃって・・」
「?」


「とりあえず、うちがすぐそこだから、来る?」と言われたので、お言葉に甘えることにした。とにかくあったまりたかった。

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