「ただいま」
「あ、おかえりなさい。先ご飯食べてます」
「あぁ」
「食べてきましたか?」
「いや、まだなんだ」
「じゃあ温めて盛っておきますんで、着替えてきちゃってください」
「わかった」


部長は自分の部屋に入って行った。
失礼かもしれないけど、わたしはずいぶん前からご飯を食べていて、もう食べ終わるところだ。今日は鰈の煮付けにオクラとえのきの和えもの、なすの漬物にご飯とみそ汁。我ながらいい出来だ。部長の分もお膳に用意し、わたしは再びご飯を食べる。うん、おいしい。


「おいしそうだね」
「おいしいですよー」


部屋から戻ってきた部長はジャージに着替えていた。会社では見たことない姿に毎回驚いてしまう。眼鏡をはずしたところも見たことなかったし、ネクタイをしてないところだって見たことがなかった。それにジャージ姿だって・・・!一番驚いたのは部長が優しいってこと。普段とても厳しい人だから、これはホント驚いた。

部長は いただきます とちゃんと手を合わせて食べ始めた。「おいしい」と顔をほころばせた部長をみるとホクホクしてくる。


「どう、部屋は見つかった?」
「それが・・・、エヘ」
「えへって、、」
「すみませんすみません!ちゃんと探します!!」


部長の眉間にシワが寄り始めたので、すぐさま謝罪。

そう、わたしたちは別に恋人同士ではない。なのに一緒に住んでいる。どうして一緒に住むことになったのか、それを説明するには一週間前にさかのぼらなくてはならない。

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