部長が疲れた顔をして帰ってきた。「ただいま」と言うとすぐさまお風呂へ。



プルルルル

部長の固定電話が鳴り響く。わたしが取るわけにもいかないので、いつものようにスルーしていたが、何か胸騒ぎがする。そのうち留守電に切り替わり、女のひとの声が聞こえた。


『基山部長!今日はありがとうございましたー。またよろしくお願いしますー』


名前は言わなかったけど、あの子の声だ。甘ったるくて、語尾を伸ばす癖、あの子に間違いない。


部長はわたしに打ち合わせって言っておきながら、あの子に会っていたんだ。



好きだって、やっと気付いたのに、どうやらわたしは失恋確定のようです。明日は土曜日、天気予報は晴れ、久々に不動産屋に行くことを決めた。早く早く早く、ここから出て行かなくちゃ。だってわたしはただの居候。部長の恋人でも何でもない。ただかわいそうだったから、部長はここにわたしを置いてくれただけだ。

ばかみたい。浮かれちゃって。悲しくて、涙がでた。息苦しくて、自分の胸をどんどんたたく。



(苦しい、 苦しい、 苦しい)



心のどこかで、この生活が、ずっと続くもんだって思ってた。思って疑ってなかった。でも、もう終わりが近づいているんだと 気づいてしまった。

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テーマ「人外ファンタジー」
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