クソ


結局結衣さんを送って行ってから、部活をさぼって家に帰った。部屋に引きこもり、ゴロゴロと寝転んで足をばたつかせた。青峰っちのことはすげぇ尊敬してる。バスケ上手いし、めっちゃかっこいい。俺にない物を持っている。そして、俺が欲しいものも全部。


「なんで、俺じゃねぇんだよ」


結局俺はなにも結衣さんに伝えなかった。何も言えなかった。頭に血が上ってたとは言え青峰っちに打たれたのに、まだ青峰っちを信じている結衣さん。意味が分からない。俺には結衣さんのしていることが、馬鹿みたいにしか思えない。

珍しく俺が部活をさぼったからなのか、桃っちから電話が来て、気が進まなかったが電話に出ることにした。電話の向こう側の桃っちはいつもと違った様子で、焦った声で「もしかして、なにかあったの?」と言う。心のモヤモヤが、ついに溢れてしまった。ダムが、決壊してしまった


「何なんスか、あの二人。どうしてあんなに信じ切ってんスか」
「・・・絆と言うか、二人はずっと、そうだったから。結衣さんはずっと大ちゃんに支えられていたから。今度は結衣さんが大ちゃんを支える番なんだよ」


携帯を握る手に力がこもる。携帯がミシッと軋んで慌てて力を緩めた。


「支え方が分からないみたいで、空回ってるけど」


桃っちは続けてそう言う。

なんで俺はこの間に入れないんだ。



「明日は、ちゃんと来てね」


電話が切れた。

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