センター入試が 終わった(色んな意味で)


推薦であっさりと進学先を決めた緑間は壮絶なる受験戦争を知らない。推薦であっさりと言っても、そこまで持って行くのが大変なんだから、緑間の努力のおかげだと思っている。大学へ進んでもバスケは続けるようで、バスケ部のある大学を受験し、そして合格した。わたしよりも一足、二足先に進学先を決めた緑間に手取り足とり勉強を教わり、朝から晩まで机に向かった。緑間にもいっぱい迷惑をかけて、寝る間を惜しんで勉強した。そして迎えたセンター試験。


緑間と同じ大学なんて、受験するんじゃなかった。


もちろん第二志望、第三志望も決めてあり、願書も出してある。でもわたしの第一希望は、緑間と同じ大学なんだ。偏差値高すぎて何度も心が折れたけど、緑間と同じ学校へ行くために、わたしはいまだかつてないほど勉強したんだ。秀徳はもともと進学校だから頭のいい生徒が集まっていて、わたしもそれなりに勉強して入学したクチだけど、その時よりももっと、ずっと、勉強した。

試験会場から出てとぼとぼと歩いていると緑間から電話がかかってきて、わたしは力なく通話ボタンを押す。いつも通りの声のトーンをした緑間が電話に出て、試験はどうだったとわたしに聞いてきたから、今から会えないかと言うと緑間は快諾してくれた。待ち合わせの場所に着くと緑間はわたしよりも先に着いていたようで、腕組をしながらわたしのことを待っている。わたしのことに気がつくと腕組をやめて、にこりともせずにわたしの顔をまじまじと見た。



「どうした佐藤」
「緑間・・・」
「死相が出ているのだよ」
「センター試験終わったよ・・・」
「知っている」
「色んな意味で終わったよ・・・」
「・・・」


不合格だったらどうしよう。不合格だとしても、一浪して緑間と同じ大学進む気にはなれない。緑間と同じ速度で生きて行くことの方が、わたしには重要だから。


「だってセンターで八割取っておかないとマズいんだよ・・・」
「そうだな」
「緑間と同じ大学じゃなかったらどうしよう」
「大丈夫だ」
「だいじょばない」
「入試は始まったばっかりだろ」
「・・・」
「それに、お前の頑張りを俺は知っている」


緑間は偉そうに言って、わたしの手を無造作につかむと、わたしのことなんて考えずにずんずんと歩き出す。今そんな速度で歩く元気はないんだけどなぁとか、手を握るのヘタクソだなぁとか、でもやっぱり嬉しいなぁとか、考えることが多くて、大丈夫じゃないわたしの心が、少しだけ落ち着きを取り戻す。マフラーに隠れている緑間の赤い耳がチラリと見えて、わたしは口元をほころばせた。


「学校へ行くぞ」
「えー」
「自己採点して二次試験に備えるのだよ」
「・・・うん」
「同じ大学へ行くんだろ」
「うん」


無造作に繋がれた左手をわたしは握り直す。三歩早歩きをして、緑間の横に並んだ。

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