もうずっと昔からの付き合いだけど、わたしはあいつが嫌い。わたしのほうが調査兵団には早く入ったが、兵士としてあいつに劣っていることは自覚している。あいつは人類最強の兵士で、滅茶苦茶な強さで、みんなからの信頼も厚い、すごい男だということは理解している。兵士としては尊敬できる。尊敬はできるけれども、


「オイ、チビ」
「・・・」
「なにシカトしてんだ」
「・・・」
「チビ」
「うるせーです!何様だこのチビが!」
「はっ、チビにチビと言われてもな。あと俺は上司だ。敬語使え」
「うるせーです!!それにわたしのほうが先輩なんだぞ!」


人をチビ呼ばわりするのは、いかがなものか。
調査兵団の中では小さい方だとは理解している。この前の健康診断でも身長は去年とは変わっていなかった。それはリヴァイ兵長も同じ。わたしよりは身長が高いからって調子乗ってると思う。チビにチビと言われたくないよ、わたしだって。あーむかつく!とりあえず呼ばれたからリヴァイ兵長のもとへ行く。兵長デスクに座っているから今のリヴァイさんはわたしよりもチビだ。見下すような目線をリヴァイ兵長に送り、「リヴァイ兵長はチビですね」と言って差し上げる。するとガタン!とリヴァイ兵長は立ち上がって「どこがだ」とわたしを見下すように言った。くそーむかつく!


「で、用ってなんですか」
「呼んだだけだ」
「むかつく」
「オイ。俺は上司だぞ」
「だからどうした!」
「もっと敬え」
「うるせーです!エルヴィンに言いつけてやる!!」


バターン!と勢いよくドアを開けて向かうは団長室。「オイ待て!」と言う焦ったリヴァイ兵長の声が聞こえたけど、無視して一心不乱に走る。が、リヴァイ兵長は足がはやい。次々とわたしの行く手を阻む。それを掻い潜り一足先に団長室へつき、エルヴィンにリヴァイ兵長にされたわたしが酷いと思ったことをすべて言う。どちらかと言うと愚痴に近い。エルヴィンはわたしの話を遮らずにうんうんと頷いて、一通り話終わったわたしに「リヴァイははしゃぎすぎだな」と言ってわたしの頭を撫でた。エルヴィンは優しい。団長室から出て、リヴァイ班の部屋へ向かう。嫌だけどリヴァイ兵長はわたしの上司であり、そして、わたしが所属しているのはリヴァイ班なのである。自分のつま先を見ながら、とぼとぼと歩く。はああと長い溜息をつきながら廊下の角を曲がったところでドン、と誰かにぶつかった。慌てて正面を向くと、そこにはリヴァイ兵長が居て、「ごめんなさ」まで出かかったけど、「い」まで発言しなかった。謝罪すると言う気持ちが一気に削がれたからだ。


「そこにいたのか、チビ過ぎて気がつかなかった」
「むかつく」


これのどこがはしゃいでるって言うんですか、エルヴィン。

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テーマ「人外ファンタジー」
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