「どうしたのその顔!?」


れおちゃんに言われた。
どうしたもこうしたもありません。


「ふられたの」


泣きに泣いて真っ赤に腫れた両目。
ガサガサに荒れた頬。
今のわたしは不細工以外のなにものでもない。
幾日も学校をさぼって家で泣きはらした。
なかなか学校に来ないわたしを心配したのかれおちゃんは何回か連絡をくれて、返事しなくても連絡をくれて、そんなれおちゃんを申し訳なく思ったわたしは放課後、久しぶりに学校へ行った。
れおちゃんが部活をしている体育館へ行くといつも通りたくさんの部員、ギャラリーで溢れかえっていた。
あんな人混みへ行ったらわたしは負けてしまう、そんなことを思っているとその人混みをくぐって、一人、わたしのすぐ目の前に現れた。







「ふられたって・・・あの男とまだ付き合ってたの?」


呆れた顔をしてれおちゃんは言い、はあ、と溜息をついた。


「・・・うん」


さんざんれおちゃんにその男はよくないとか言われて、それでも大丈夫だからと答えて付き合い続けた男。
何も大丈夫な事はなかった。
わたしが馬鹿みたいに好きなだけだった。
そんなわたしを諭していてくれたれおちゃんを無視して付き合い続けて、結局痛い目を見て、泣いてる。

どんだけばかなんだ。
どの面下げてれおちゃんの目の前に現れたんだ。
自分で自分が嫌になる。


「馬鹿ねぇ」


その声はひどくやさしく、わたしの涙を、また誘うのだ。


「泣くくらいなら、別れなきゃ良かったじゃない」


男の人とは思えない、奇麗な指がわたしの髪の毛をさらりと撫でたことが合図のように、わたしは泣きだした。
れおちゃんの言うことはごもっともで、出来ることならそうしたかった。


「れおちゃん」


泣きじゃくるわたしがれおちゃんの胸に飛び込むと、れおちゃんは拒むことなく受け入れてくれる。
さっきと同じようにわたしの髪の毛を優しく撫でて「こんなかわいい子どうしてふったんだろうね?」なんて優しいことを言ってくれるのだ。


「れおちゃん」


れおちゃんが優しいから、だからこんな風に泣いてしまうのだと自分に言い聞かせる。


「なあに?」


わたしに呆れることなく、優しいことしか言わないれおちゃんに甘えてるって、わかってるよ。


「れおちゃん」
「明日は学校来る?」
「むりだよ。こんなに顔ぐちゃぐちゃなんだもん」
「じゃあ私がお化粧してあげようか」
「本当?」
「もちろん」


れおちゃんがいてくれてよかった。
そう思うと同時にれおちゃんがいなかったら、そんなことを考えてぞっとする。
頼ってばかりのわたしが、いつかれおちゃんに頼られる日が来るのだろうか。

いつもありがとう なんて なにかのフラグにしか思えなくて言えないのに。


「本当に真帆は私がいなくちゃダメねぇ」


れおちゃんが言ったその言葉が、なにかのフラグに思えて仕方ない。


「れおちゃん」
「なあに」


ありがとうは、言わない。


「ごめんね」


焦点の定まらない目でれおちゃんを見るとれおちゃんはわたしを慈しむように笑って


「いいのよ」


なにがいいの なにがわるいの

わたしが別れて良かったの 良くないの


ねえ れおちゃん

こうやってわたしが泣きじゃくってれおちゃんに寄りかかるのは、どこかでれおちゃんがフラグを立てたからなの?

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