自転車乗ると野獣とか呼ばれているくせに、ヤストモのセックスは淡白そのものだ。触り方も素気ないし、くっついているのが嫌なのか密接してるのはでこぼこのところだけで、抱きしめながらだとか、そういう体位でしたことはない。ヤストモはセックスするのが嫌いなのか?一緒に寝てれば手を出してくるのはヤストモだから嫌いとかそういうのではないと思う。

ただ、セックスが終わった後のヤストモは素気なくない。むしろしているときよりもずっと優しくしてくれているような気さえする。終わった後の汗でべちゃべちゃで、だけどシャワー浴びる元気のないわたしの体をバスタオルで丁寧に拭いてくれるなんていいやつなんだヤストモ・・・。うつぶせで寝転がって、背中をとんとんと拭いてくれる。いたれりつくせりー。力入れて拭かないから全然ヒリヒリしないし、本当優しいヤツだなぁ。


「体痛いとこナァイ?」
「だいじょーぶ」
「ならいいんだけどヨ」


わたしの体を拭き終わったヤストモはそのバスタオルをわたしの頭に掛けると、隣に横になった。わたしはバスタオルを取ると、仰向けに寝転がったヤストモのおでこをとんとんと拭いてあげる。おでこを拭いたらつぎは首、胸、おなか。


「真帆」


その下はちょっと危険地帯かもしれないと思って、わたしは手を止めた。ヤストモは特にお礼を言うわけでもなく、わたしのことを呼ぶ。


「なに?」
「さっきからちらちら乳首見えてるんだケド」
「へ、へんたい!」
「見られて困るなら隠しておけヨォ」


さっきまで見られていたから恥ずかしがることはないのに、わたしは過剰に反応してしまって、さっきまでヤストモの体を拭いていたタオルで隠した。ヤストモは口元をにやっと上げて笑い、言う。「もう一回しよ」


「・・・珍しいね、ヤストモが二回戦に挑もうとするなんて」
「最近してなかったデショ」
「そうね」
「ヤダ?」
「ううん、やじゃない。けど」
「なに」
「くっついてしようよ」
「・・・あのサァ」


ヤストモは困ったような顔をして切りだした。「オレ、ガリガリだから、体痛くなっちゃうかもヨ?」確かにヤストモの体は細くて、自転車に乗るための必要最低限の筋肉と、それを支える骨しかない。ごつごつと骨ばった体をしている。


「だからぶつかったりして、痛くなるかもしれないだろ」
「・・・そうかもしれない」


想像つかなくても今までの経験上、ちょっと体痛いかなー?と思うところはあった。けどそれでも痛くても、「でもヤストモとくっついていたいよ」痛いことを我慢したら、その先にはもっとシアワセな何かが待っているって、知ってるんだ。


「しょうがねぇナァ」


ヤストモはわたしの体を持ち上げて、ごつごつした体でわたしのことを抱きしめた。「痛くなったら言えよ」「うん」なんだか初めてセックスするときみたいだね。

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