太ももを這う手の感触で目が覚めた。


「ちょ」


わたしの制止に気がついたのか白澤は太ももからゆっくりと別れを惜しむように手をどかした。そのままするりとわたしの首のしたに腕を滑り込ませて、そのまま頭を抱く。細い奇麗な指がわたしの髪の毛をさらさらと撫でて、長い息を吐いた。


「起きちゃった?」
「そりゃ起きるよ」


あんなにお酒を飲んだ後だもの、寝が浅いに決まってるじゃないの。アルコールが頭に残っていてまだくらくらする。気持ち悪いわけじゃないけど、宙が回っていて気持ちが良かった。横になってるのにくるくるメリーゴーランドに乗っているみたいで。


「ちぇー夜這い失敗」
「夜這いじゃなくてさっきまで致していたじゃありませんか」
「そうだけどさー。僕まだいってないんだよね」
「昨日あんなにお酒飲んだからでしょ。付き合い切れないよ」
「真帆ちゃんから誘ってきたくせに」
「誘ってない」
「えー僕をここに押し倒したじゃん」
「してない」
「それで唇押しつけてきて、お風呂まだ入ってないよ!っていう僕の制止を振り切って体中べろべろに舐m」
「してない!」
「してたよぉ?こんなふうに」


白澤は腕枕をやめてわたしを組み敷いた。なにも身につけてないわたしの首に胸にお腹に唇を這わせた。さっきまで眠っていたせいで熱いわたしの体を、それよりも熱い舌がざらざらと舐めて行く。手はずっとわたしの耳を遊んでいて、最初はくすぐったかったのにどんどんじれったく感じてああああもう!


「もうやめて じゅうぶんでしょ」
「ナンデ?」


腕を伸ばして白澤の体をおしのけようとする。白澤は不満げに首をかしげてわたしの手を抑えつけた。ちくしょう。わたしの両足に白澤の足が割り込んでいて、身動きが取れない。してやられた、そう思うのはいつもことの起こった後なんだ。

昨日さんざん飲んだから、いきにくくなってしまうのは仕方のないこと。絶倫でもある白澤がいきもしないで一晩中わたしの体を貪るんだから、体もたないよ。ふわふわしてる体じゃなかったらきっと、痛みを感じているだろう。


「だって、僕まだいってないんだよ」
「もう疲れたんだもん」
「僕が一人で済ますからいいよ」
「わたしは空気嫁とイッショですか」
「そんなこと思ってないよー?真帆ちゃんは天国一可愛いしエッチだし僕大好き」
「薄っぺらいんだよ」


うん 知ってる。白澤は囁いて、わたしの唇に唇を押しつけた。息が続かなくなって体に力が入らなくなる。白澤に対抗しようと思って力を入れていた腕も、もう力は入らない。セックスしたいなんて一言も言ってないけど、それがオーケーの合図に思えた白澤は、わたしの太ももを持ち上げた。


「もう 疲れたんだよ」


うん 知ってる。
そうまた言って、でも行為をやめようとしない白澤に、腹が立った。そうだ。こいつにとって女は、その程度の存在なんだ。

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