いつもベタベタとくっついているわたしたちじゃない。涼太を知ってる人は、きっと甘い新婚生活を送っていると思っているんだろうけど、実際はその逆だ。休みの日が被っていても一緒にいることはあまりない。今日だって、休みが被っているけど彼はもう家にいない。わたしが目が覚めた時間には、涼太は朝ご飯を終え、どこかへ出かけた後だった。手の器用な涼太が作った朝ご飯。卵液に浸かったパン。これを焼いてフレンチトーストにしろってことか。コンロには冷め始めたスープ。冷蔵庫にはグリーンサラダ。・・・何でもそつなくこなすんだから、敵わないよ。


もぐもぐと温めた朝ご飯を食べる。・・・朝ご飯って言うか時間的にはもう朝じゃないなぁ。フレンチトースト染み染みで美味しいなぁ。天気いいなぁ。ワイドショーで汚職事件。チャンネル変えれば芸人がやんややんやと煩い。パチンとテレビを消す。なーんも面白くないや。あー美味しいなぁ。スープきのこたくさんで美味しいなぁ。こうも美味しいと食べ切るのもったいない。


ガチャリ
フレンチトーストが残り一口になってしまった時、鍵が開く音が聞こえる。玄関に迎えに行くことよりも、パンを食べる方が重要だ。「ただいま〜」ああやっぱり涼太だったか。パンを食べ切り食器をシンクに置きに行く。すると涼太はドアを開いて「ただいま〜」ともう一度言った。


「おかえり。ご飯美味しかった。ありがとうね」
「良かったッス」
「コーヒー飲む?」
「お願い」


食器を洗ってコーヒーを淹れる。涼太はテーブルに何かを置いて、DVDコンポをカチャカチャといじり出した。ソファに座り、長い脚を投げ出す。手にはリモコン。・・・見慣れてるけど、やっぱに絵になる男だと思う。コーヒーを淹れて涼太のもとへ持って行く。「はい」と手渡すと涼太はテレビを見たまま受け取った。一口飲むとそれをローテーブルに乗せる。二人掛けのソファの左側を涼太が座っている。自分用のマグをローテーブルに置いて、ソファの右側に腰をかけた。テレビには洋画のCMが流れている。


「DVD借りてきたの?」
「そッス。10本」
「10本!?」
「ちなみに全部新作ッス」
「えっ!じゃあ明日には返さなきゃいけないの?」
「そういうことになるね」
「・・・見終わるかなぁ」
「今夜は徹夜ッスね」
「うんうん。頑張れ」
「真帆も付き合ってくれるんでしょ?」


するするっと涼太の腕がわたしの肩に回って、


「しょうがないな」


わたしは涼太の肩にもたれかかってみた。

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