ヘタレコミュ障の彼氏を押し倒しました。


長い髪の毛が顔にかかって実にエロいよ巻島。わたしが馬乗りになって手を抑えつけている。身動きの取れない巻島の体には力が入っていないことはすぐに分かった。目が点になるほどびっくりして、わたしのことをどかそうとしないんだ。


「ちょ、なにしてんショ」


へらりと笑う巻島の体には相変わらず力は入っていない。頭のいい巻島だから、どうせわたしのことを馬鹿にしてるんだ。そうに決まってる。いきなり押し倒すなんて馬鹿げたことをしてると呆れてるはず。


でもね
でもね


「いい加減にちゅーの一つはさせろ!」


わたしは巻島が好きだ。触れたいと思うし、チューしたいし、セックスもしたいわけであって、隙さえあればしようと虎視眈々と狙っている。巻島は隙がありそうでない。肝心なところでするっとわたしから逃げて行く。もうやだよ。触れたいのに触れられないとか。好き同士だからこうやって付き合ってるのに、なんでチューの一つもさせてくれないのですか。わたしに欲情しませんか。短いスカート履いてても触りたいとは思いませんか。


「お、落ち着けって」


へらり。
そうやって笑っているのも今のうちだよ。ヘタレ星からやってきたコミュ障王子。


巻島が初めての彼氏であるわたしにとって、チューは経験のないことであり、へったくそなキスをしたって、それはしょうがないことなのである。大人のキスの仕方なんて、わからないのである。


酸素の足りなくなった巻島が頬を赤らめている。ぐったりとした巻島を見て、わたしは口元を拭った。巻島の冷たい手がわたしの短いスカートの中にするりと入ってきた。

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