告白されて、ま、いっかなんて軽い気持ちで付き合ってみた。ら。この人、なんでわたしに告白してきたんだろうと不思議に思ってしまうほど、感情が顔に出ない。たとえば、あと3センチでちゅーができるという距離にいても氷室くんは眉一つ動かさない。なんだか腹が立ってドンと体を押し、馬乗りになる。制服のネクタイを掴んでくいっと引き上げる。キスまであと5センチ。それでも氷室くんはいつもどーりの変わらない表情で言う。「今日は積極的だね」


「ね、氷室くん、本当にわたしのことすきなの?」
「うん。好きだよ」
「本当に?」
「本当に」
「そっか」


ネクタイを掴んでいた手の力を緩める。距離が開いても惜しそうな顔をしない氷室くん。わたしのことが好きなのかどうか定かではない氷室くん。なぜ、わたしだったのですか。なぜ、わたしを好きだと言うのですか。好きなのならば、なぜ、どうして、


「わたしに キス をしてくれないのですか」


「・・・だって内田さん、俺のこと好きじゃないでしょ?」


ああ、痛いとこつくなあ氷室くん。

最初はサ、全くもって好きじゃなかったんだ。バスケが上手で、いつもポーカーフェイスで、イケメンなんてサ、胡散臭いだけじゃんと思ってたんだ。告白してくれるのなら、付き合ってみようってただそれだけ。それだけだったのに。付き合ってるのに、振り向いてくれない氷室くんを追いかけることが、わたしの日常になってしまった時、わたしはもう氷室くんから抜け出せなくなっていた。


「好きじゃ ない」


好きと言ってしまったら 負けのような気がして。


ネクタイ引き上げてわたしからキスをした。


「    」
「氷室くんも驚いたりするんだね」

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