急に浜焼きが食べたいと思い立ち、暑い中海へ行くことに決めた。日焼け止めはバッチリ塗ったし、首にタオルを巻いた。鞄に水筒入れたし、帽子もかぶった。暑さ対策は完璧だ。海は相変わらず人でごった返している。もうじきお盆が来るって言うのに。みんな遠くからわざわざ泳ぎに来てるんだなぁ。海岸に並ぶ車のナンバーを見ながら思った。お盆になったらクラゲ出るって言うもんね。クラゲに刺される前に泳いでおきたいんだな、うんうん。浜茶屋に行って、赤魚の串焼きと焼きトウモロコシをゲットする。この間と同じように縁石に座って、人がうじゃうじゃいる砂浜を眺めながら赤魚の串焼きにかぶりつく。おーいしーい。この皮がパリパリしてるのがたまらないね!!人の波を見ていると、わたしと同じ浜茶屋で、わたしと同じ赤魚の串焼きと焼きトウモロコシを買った人物を発見した。その人物が大きな口を開けて赤魚の串焼きにかぶりついたのを見て、わたしは思わず笑ってしまう。


「あはは、おっきい口!」
「っ!!真帆!!」


ぶぶっと盛大に吹き出してしまった凛ちゃんはわたしのことを見つけるなり「このヤロウ・・・!」と言った。怖い怖い。


「お前、一人か?」
「あぁうん。いつもだいたい一人だよ。そういう凛ちゃんは?」
「だからちゃん付けは・・・。今日は部のみんなと」
「そうなんだ!奇遇だねぇ」


ドカッとわたしの隣に座って、また大きな口で赤魚を食べる。うん、凛ちゃん、浜焼きが似合うよ。大きな口がどんどんサバを食べて、赤魚はあっという間に骨だけになってしまった。次はトウモロコシ。凛ちゃんの手にかかればトウモロコシもあっという間に芯だけになってしまう。わたしはまだ両方食べ終わってないのに。


「早く食わねぇと冷めるぞ」
「そうだそうだ。食べないと」
「あ〜喉乾いた」
「わたしので良いならお茶あげるよ」
「サンキュ」
「というか凛ちゃんここにいていいの?」
「は?」
「だって部のみんなと来てるんでしょ」
「大丈夫だろ」
「えー」
「帰る頃になったら誰かが呼びに来る」
「そう?」
「それに一人で食うより二人で食ったほうが旨いだろ」
「・・・うん。もう凛ちゃん食べ終わっちゃったけどね」
「・・・お代わりしてくる」
「良く食べるねぇ」
「うっせ」
「凛ちゃんって実は優しいよね」
「実はは余計だ」


凛ちゃんは縁石から立ち上がって、さっきの浜茶屋で今度はいか焼きを買ってきた。また大きな口でいか焼きを頬張る。うん。やっぱり浜焼きが似合うよ、凛ちゃん。

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