「なんか最近リヴァイ付き合い悪いよね」


ハンジにそう言われて、最近の俺について振り返ってみる。最後に仲間と遊んだのはいつのことだっただろうか。


「前はよくみんなでご飯食べたり酒飲み行ったり居残って鍛練したりしてたのに、最近のリヴァイはすぐ帰っちゃうじゃん」
「そうか?」


俺が首をかしげて見るとエルヴィンもエレンも、そこにいる俺の部下たちもうんうんと頷いた。


「金欠なんですか?」
「エレン、リヴァイは掃除しか楽しみがないんだからお金減るわけないでしょ」
「エレンもハンジもリヴァイに失礼だろ」
「それとも何、高い買い物でもしたの?」


高い買い物・・・
まぁ美緒はすごく高かった。美緒を迎え入れるにあたって衣料品もそろえたし、家具だって新しいのを買った。だからといって付き合い悪くしてるつもりはないんだが・・・。こいつらには女のことを言っていないから(言う気も更々ない)、最近の俺が付き合い悪いのが気になるのかもしれない。


「ハンジ、それにもともとリヴァイは自分から酒を飲みに誘ったりするようなヤツじゃないだろう」
「まぁそうだけどさ・・・」
「つまりハンジさんはリヴァイ兵長と飲みに行きたいってことですか?」
「それは違うよエレン」
「お前らさっきから言いたいこと言いやがって・・・」
「じゃあ今日は久しぶりにみんなで飲みに行こうか!」
「明日は会議がある」
「いやいやエルヴィン、大丈夫だよお酒の一、二杯」
「俺も飲んでいいんですか!?」
「エレンはまだ未成年だろう」
「リヴァイももちろん行くよね?」


どうしようかと目を閉じて考える。金欠ではない。今までためていた金ならごまんとある。ただ、

 おかえりなさい

美緒の言うおかえりなさいと言う声が聞こえたような気がして、はっとして目を開いた。実際は「おおおおかえりなさいぃ」とどもりながらのおかえりなさいだが。


「俺は止めておく」
「やっぱりリヴァイ付き合い悪い!」
「うるせぇな・・・別にいいだろうが。酒なんていつでも飲める」


俺が死なない限り、酒なんてあればいつだって飲める。ただ女に「おかえりなさい」と言ってもらえることは、俺が生きていても、女が死んでしまったらできないことだ。それに女は身寄りもない、知らない土地に連れて来られてまだ間もない。不安を抱えながら俺の帰りを待っているはずだ。そんな女を置いて飲みになんていけるか。


「そのうち慣れたら、飲みに行く」
「慣れたらって、何になれるんですか?」
「うるせぇな年下のくせに。何でもかんでも答えてくれると思ってんじゃねぇ」


慣れたらって、女がこの土地になれたら、女が俺になれたら、の慣れたら、だけど、それを言ってしまっては女の存在が知られてしまう。ぽろっと女の存在を口にしないように気をつけなくては。

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -