さすがは徹でした。徹と一日中ボウリングをして帰ってきて、体のあちこちがすでに痛くなっている。今日はゆっくりお風呂に浸かろうと思い、バスタブにお湯を溜めた。溜めている間、ベッドにごろんと横になり、ペラリとスコア票を見る。・・・わたし、ボウリング下手だなぁ。久しぶりにしたからって言うのも、あるかもしれないけれど。それにしても徹のスコアすごいなぁ。素晴らしいなぁ。ピピピピッとお湯が溜まりきった合図が聞こえて、ベッドからノソリと起き上がってお風呂に浸かる。痛いところをもみほぐしながら「筋肉痛になりそうだ」と呟く。いや・・・筋肉痛は来た方が良いよね、うん。年取ると来なくなるって言うし。

お風呂から上がると携帯がチカチカと光っていて、少しだけ期待しながら見る。着信ありの表示に胸が高鳴って、急いで確認をした。・・・徹じゃなくて後輩ちゃんでした。珍しいなぁと思い、かけ直すと後輩ちゃんはすぐに「先輩聞いてくださいよー」と泣きそうな声で電話に出た。タオルでわしわしと髪の毛を拭き、「どうかしたの?」と聞くと、「及川さんがつれないんです・・・」と言った。


徹め・・・


「そ、そうなんだ?」とわたしが言う。後輩ちゃんは徹とわたしが付き合ってるなんて知らないんだよね。うん、仕方ない。というか付き合ってると言った方がいいのか、良くないのか。どうしたもんか。それより徹が後輩ちゃんとアドレスを交換しなければ良かったのじゃなかろうか。ベッドに腰をおろして後輩ちゃんの話を聞く。わたしは泣きたくなった。


「メールもそっけないんです。でも返事ちゃんとしてくれるんですよ!?わたしのことなんとも思ってないなら返事なんてしてほしくないんです。でも返事くれるからわたしだって期待しちゃってメールしちゃうんですよ。そっけないってわかってるのに。出会ってまだ一回しかデートしてないから、好きになるならこれからだと思うんですけど・・・。やっぱり年上ってダメなんですかねぇ・・・。大学三年ってことは21歳くらいだから、あんまり年変わらないか。それでもやっぱり年上って男にしてみたらだめなんですかねぇ。先輩どう思います?年上ってやっぱり相手にされないと思いますか!?」


そんなに年上ダメ年上ダメっていわないでくれるかなぁ。本当に泣きそうになるよ。一応わたしは徹に相手にされているから、つまり徹は年上も恋愛対象に入るのだろうけど。だけど、徹の彼女は、わたしなんですよ、後輩ちゃん。


「わ、わからないけど、相手にされないなら諦めた方がいいんじゃないのかな・・・?」
「久しぶりに誰かを好きになれそうなのに!そんな易々と諦められないです!」
「あ、そう・・・」


もうどうしたらわからないよわたし。徹の馬鹿野郎。
後輩ちゃんの言いたいことを聞くだけ聞いて、やり場のない気持ちをお腹に溜めた。この気持ちをわたしは誰にぶつけたらいいんだろう。徹にそのまま言ってもいいのかな。徹と付き合っていることを後輩ちゃんに伝えてもいいのかな。そしたら後輩ちゃんは傷ついたりしちゃうかな。

どうしたらいいんだろう。誰かと付き合うって、二人だけじゃできないんだね。何かと誰かとまた関わり合わなくちゃ、付き合っていけないんだね。

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