梅雨が来た。雨なのに講堂に集まって朝会があるのだと言う。全校生徒がぞろぞろと講堂へ向かう。長い行列のすぐ眼の前に、同じクラスの花宮くんがいた。湿気に弱いのか花宮くんの髪の毛はあちこちに跳ねている。意外だなぁと思いながら花宮くんの後頭部を見ていると、わたしの視線に気がついたのか花宮くんは振り返り、わたしのことを見つけるなり思い切り嫌そうな顔をした。


「花宮くんって、結構癖っ毛なんだね」
「うっせ」


ワックスで必死に隠そうとしたのか、ワックスの香りがぷんと香った。へえ、花宮くんもワックスつけたりするんだなぁ。当たり前か。男子高校生だもん。


「吉川こそ前髪うねってんぞ」
「うそ!!」


慌てて前髪を抑えると、花宮くんはいやらしく舌を出して言った。「嘘」


「・・・!」


くそうやられた。前髪を手で押さえるのをやめて花宮くんを睨む。わたしの睨みなんてちっとも効いてないらしい。にやりと笑って、前に向き直った。


「ねぇ、カオリって花宮くんと仲良いの?」


もみくちゃにされながら歩いているといつの間にか花宮くんは遠くに行ってしまったらしい。それを見計らってか隣を歩いていたかほちゃんに話しかけられた。


「いや、全然」


むしろわたし、花宮くん嫌いですけど。



・・・?
嫌い、かなぁ。最近なんか、そんなに嫌いでもないような気がしてきた。

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -