体育の授業で突き指をした。今日の体育はバレーボール。球技なんて部活やってる人じゃないと上手にできないと思う。ジンジンと腫れてきた人差し指にテーピングを巻いてもらうべく保健室へと急いだ。まだ授業中だってこともあり、廊下に人の姿はない。保健室へ辿り着きコンコンとノックをして扉を開く。


「せんせーい突き指し」


そこには目を疑う光景があった。


「しつれいしました」


開けた扉を、閉める。
扉の向こう側に、制服の襟が乱れた花宮くんと、花宮くんの膝に乗っかるようにして跨ってた保健室の先生。なんともまあ色っぽい二人だったわけで。・・・見たくなかった。心底見たくなかった。どうりでさっきの体育の授業、花宮くんの姿がなかったわけですよ。そういうことだったんですね。なにこれ他の先生にチクればいいの?そしたら花宮くんからの報復が怖いなぁ。

保健室から少し離れたところで、座り込む。突き指した左手の人差し指が、やけに痛く感じられた。

ガラガラと扉の開く音がして、そっちの方に顔を向けると花宮くんが保健室から出て来たようで、見下すようにわたしのことを見てきたものだからカチンときて「そういうことするなら鍵かけてからしたほうがいいんじゃない?」と吐き捨てるように言った。


「誰があんな年増と」
「ネクタイ、ずれてるよ」


花宮くんは何も言わずにネクタイを直して階段を上った。教室にでも行くんだろう。本当に体育サボるつもりなんだな。なんて男だ、花宮真。わたしは何食わぬ顔でもう一度保健室の扉をノックして、開いた。


「先生、突き指しました」

「あ、あと髪の毛ぼさぼさだからどうにかした方が良いと思いますよ」

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