まさか、まさか同じクラスになると思わなかった。


一年生の時図書室で、背伸びをして高いところにある本を取ろうとしたとき、後ろから来た花宮くんに取ってもらった。もらったわけではない。


「あ、ありがとうございま」
「は?コレ俺が借りるんですけど」
「・・・すみませ」
「おめでたい頭してんなァ」
「(なんだこの人)」


取ってもらったと勘違いしたわたしが悪い、かもしれないけど。それでもこの言いざまはないと思う!すれ違うときにその本でポンポンと頭を軽く小突かれ、わたしのイライラは限界を突破した。もちろんその場は我慢したけれど。

後々にその男が悪名高い花宮真だと知ることになる。







二年生になって、初めての日。きゃあきゃあとうるさい、新しい教室に足を踏み入れる。窓際一番後ろの席で、気だるそうに頬杖をついている男が目に入った。

はなみやまこと

なんでこいつが!!もう一度クラスのプレートを確認する。ここのクラスで間違いない。まさか、まさかこいつと同じクラスになるなんて!


「花宮くんて頭良いんだって!」
「しかもバスケめっちゃ上手いんでしょ!」
「今度練習見に行こうよー!」


クラスの女の子たちが喋っているのが耳に入る。いや、まあ顔は悪い方ではないと思うけど、頭もいいらしいけど、バスケも上手いらしいけど、わたしは花宮くんが嫌いです。鞄を机に置きに行って椅子に座る。友達も数人いたし、クラスに馴染めないことはないはず。友達来てないし、探しに行こうかな。そう思って席を立つ。教室から出て行こうとしたとき、ちょうど花宮くんも外に行こうとしていたときで。わたしに言ったわけではないと思うけど、


「うるせーんだよ。テキトウな事ぬかしやがって」


と小さく言ったのを、わたしは聞き逃さなかった。



花宮真、やっぱり嫌いだ。

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