わたしって花宮くんの何なのかなぁ。


花宮くんの家で落ち着かないわたしはキョロキョロと辺りを見回す。高そうな坪に掛け軸・・・。黒塗りの高級車に乗ってるんだからそりゃあお金持ちなんだろうなとは思っていたけれど!広い敷地に大きな日本家屋。こんなお屋敷初めて立ち入ったから緊張してしまうのは仕方のないことだ。

帰ろうといつもの黒塗りの車を通り過ぎたとき、名前を呼ばれて振り返った。そこには黒塗りの車から出てきたと思われる花宮くんが立っていて、「乗って帰るか」なんてわたしを誘ってきたのがことの発端だ。わたしは家に帰ることなく、なぜか花宮くんの家に連れて帰られたってわけ。花宮くんはお茶を取って来るなんて言って、どこかへ行ってしまった。手の行きとどいた中庭が見える。洋風な花宮くんを想像できないけど、和風な花宮くんも想像してなかったな。


「待たせたな」


花宮くんはお茶とお茶菓子を持ってきて、それをおぜんの上に置いた。なんて返事をしたらいいか分からず「いえお構いなく」なんて言ってしまった。お茶菓子もなんか高そうなのだし、食器も高そうだし、わたしここにいていいのかな。庶民であるわたしはこういうの、慣れてないからどう対応したらいいのか全く分からない。


「あのう」


花宮くんは、ずず とお茶をすすり、なんだ?と問いたげな目をわたしに向ける。


「わたしたちって付き合ってんの?」


そして勢いよくお茶を拭いた。


「きたない」
「お前がいきなり変なこと言うからだろ」


傍らから二、三枚ティッシュを取り、濡れた部分を拭く。花宮くんは制服の裾で口元を拭った。真っ赤な顔して、なんだ花宮くん。照れているのか。可愛いところあるんじゃん。


「で、こんなところに連れ込んで何がしたいの」
「連れ込んでねぇ」
「どういうつもりなの」
「は?」
「わたしご両親に挨拶しなくちゃダメ?」
「両親なら今いねぇよ」
「えっ」
「なんでそこで後ずさりすんだよ」
「気のせいです」


わたしもお茶をずずっとすすって花宮くんのことを伺う。花宮くんは胡坐をかいてそっぽを向いている。


「付き合ってんだろ」
「!!??」


さっきの花宮くんみたいにわたしも思いっきりお茶を吹いてしまって、「あのさぁ」と花宮くんに嫌そうな顔をされる。誰のせいだと思ってんのよ。


「ふふふ」


なんでか笑いがふつふつと込み上げて来て、わたしはついに笑い出してしまった。そんなわたしにつられたのか、花宮くんは口を歪めて一瞬笑う。わたしとばちっと目が合うとさっき制服の裾で口元を拭いたみたいにして隠して、またそっぽを向いた。


「好きだよ。花宮くん」
「うっせーよ」

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -