「・・・宿題してくるのわすれた」


チラリと花宮くんを見ると、なにやらスマートフォンで動画を見ているようで。


「あのぉ・・・花宮くん」
「断る」
「なんで何も言ってないのに分かったの!?」
「吉川の考えてることなんて顔見なくても分かるわ、バァカ」
「くっそむかつく・・・!」


花宮くんの目はスマートフォンを見ているままで、わたしのことなんて一度も見てない。そんなにそのスマートフォンが楽しいですかそんな楽しい動画見てるんですかわたしにも見せてください。


「俺が宿題見せてやってなんか得するんですかいいことあるんですか大根足」
「ムカツク」


花宮くんはこうだ。口を開けばわたしを罵っている。なんだわたしはお前のストレスのはけ口かコノヤロー。あと五分もすれば数学始まるんだぞバカヤロー。


いちばんわるいのは、宿題してこなかったわたしだっていうことを棚に上げて、花宮くんを睨んでいた。花宮くんを睨んだところで宿題なんて終わるわけないんだけどね。宿題のプリントを見て、わたしは溜息をついた。わかるわけないよこんなの。アヒル口して唇の上にシャーペンを乗せる。うまいことバランスを取ったシャーペンに感動していると、花宮くんはわたしを見ずに言った。「・・・わかんねェ問題あるなら教えてやる」ホント、花宮くんはイイヤツなんだか悪いヤツなんだか。


「最初からわからないんだけど」


わたしがそう言うと、花宮くんはわたしをバカにするような目でわたしを見た。


「やっとこっち向いたね、花宮くん」
「うっせ」

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