「藍ちゃん!お久しぶりです!」
「ナツキ。それにショウも」
「最近忙しそうだな、藍」
「まあね」
「聞きましたよ〜藍ちゃん、千代ちゃんがマネージャーになったんですね」
「知ってたんだ」


スタジオに着くとそこにはナツキとショウがいた。今日の収録は深夜に流す15分間だけの対談番組。台本に目を通していたからショウとナツキがいることは分かっていた。それはショウとナツキも同じはずなのに、二人は嬉しそうに笑い、ボクに話しかけてくる。データによれば、千代は二人と学園も同期。入社も同期だったはず。千代のことを知っているのは当然、か。


「知ってるもなにも、同期だもんな」
「そうですよー。千代ちゃんは卒業間近にいなくなっちゃって、それから疎遠だったんですけど・・・」
「うん、知ってる」
「仲良くやってっか、お前ら」
「フツウじゃない?」
「藍ちゃんはちょっと冷たいところがあるから心配してたんですよ〜」
「ナツキに心配されるようなボクじゃないよ」


立ち話をしていると後ろから千代がやってきてボクに並んで、「お二人とも、お久しぶりです」と頭をぺこりと下げた。ショウとナツキは一瞬ポカンとした顔をする。それからやっと気がついたように、「千代か?」とショウが聞いた。


「一瞬誰か分かんなかったわ・・・お前、痩せた?」
「え、そんなことないと思うけど」
「そんなことありますよ〜ちゃんと食べてますか?」
「食べてる、よ?」


あれ
ボクは千代が何か食べているところを見たことがない。一日の大半を千代と一緒に過ごしているっていうのに、食べているところを見たことがないって、変な話だ。ボクはソングロボだから何も食べなくても平気だけど、千代は人間だからそうはいかない。

二人は心配そうな顔をして千代のことを心配して、ナツキに至ってはポケットに隠し持っていたクッキーを千代に手渡していた。


「藍のことで大変なのはわかるけど、自分のことも大事にしろよ?」
「うん。翔くんお兄ちゃんみたいだね?」
「千代ちゃんは学園にいたころお姉ちゃんみたいでしたよ〜」
「そうかな」


ねぇ千代、どうしてボクの前と二人の前じゃ、そんなに違うの?ボクの前じゃずっと冷たいのに、どうして二人の前だとそんなにニコニコ笑ったりしているの?

胸がもやもやと晴れない気持ちになった。なんだろう これ。


後ろからスタッフの人が「そろそろ時間ですので、スタンバイをお願いします!」とボクたちに声をかけた。


「では、美風さん。収録頑張ってください」
「わかった。じゃあ行って来る」
「またな、千代」
「うん、翔くん」
「そのうちお茶しましょうね」
「わかった、またね、那月くん」
「行くよ、二人とも」
「わかってますよ〜藍ちゃん」
「なんか藍怒ってんのか?」
「怒ってない」

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