次の日の朝、担任に花子さんが書いた同意書を手渡すと、担任は「親のサインと判子がないとなー」とは言ったけれど、花子さんが登山に参加することの方が重要らしく、「まあなんとかしてみる」と言った。なんとかできる力がこの担任にあんのかな。


今日も隣の席には誰も座っていない。その席に向かって心の中で「よかったな」と呟いた。隣の席は空席だけど、今日も一日が始まる。


いつも通りに部活を終えて、真ちゃんとじゃんけんをして、今日も俺が自転車をこぐこととなった。いつも通りの通学路をチャリアカーで進んでいく。目の前には昨日行ったばかりの古ぼけたアパート。二階にある一番端の一室は、今日も暗かった。その部屋を見ていることに真ちゃんは気がついたのか、「どうした」と一言。真ちゃんはここが花子さんちだとは知らないんだもんな。


「いんや、別に」
「そうか」
「明日でも行ってみよーかな」
「なにがだ」
「いんや、別に」


そういえばオリエンテーションあるんだよって言ってなかったから。

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