ディーノはわたしを抱かなくなった。あたしも抱かれるのが少し、怖い。キスをすることだって怖くなってしまった。ディーノは何も悪くないんだ。あたしが怖がり名だけで。あたしが怖がりなのがいけないんだ。

ディーノはよく、あたしの顔色を伺う。眉間に皺寄せて、難しそうな顔をして、その動作があたしに怒りを誘って、あたしは不機嫌になってしまう。こんなの夫婦じゃない。わかってる、何とかしなくちゃいけない、わかってる。けど、でも、どうにもならないんだ。だってディーノは他の女と寝たんだもの。他の女とキスしたんだもの。浮気の一つや二つ見逃せよって言われてもそうはいかない。なぜならディーノが大好きだからだ
だからあたしだけを好きでいてほしいし、あたしだけにやさしく触れてほしい。ディーノのたったひとりの特別なオンナノコはあたしがいい。

でもディーノはそうじゃなかった。もう一人オンナノコがいた。



ダブルベッドに二人。今夜もディーノはあたしに触れない。今起きているのかも、今眠っているのかも、今何を考えているのかも、あたしにはわからない。
もし願いが叶うなら、何も知らなかったころに戻りたい。

(ディーノは、やっぱり わるいひと)



ディーノが眠っていることに賭けて、唇にキスをした。触れるのだって、触れられるのだって、怖い。だけどそれ以上にディーノに触れていたいのだ。
小さなキスを繰り返しているうちにディーノは「アミ」とあたしの名前をこぼした。

(ディーノは やっぱり やさしいひと)


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