「あたし、がんばるから、もっと、がんばるから」

俺はなんて馬鹿なことをしたのだろう。
あのときのアミの大粒の涙が俺をハッとさせた。






俺は、愛を誓った大切な生涯のパートナーであるアミではなく、他の女と寝た。酒のせいにはしたくないけど、あの夜はべろんべろんに酔っていて、乳がでかい部下に誘われ、ころっと、寝てしまった。困ったことがあり、俺に話を聞いて欲しいと言われ、大切な部下だから時間を作って話を聞くことにしたらコレだ。それが、巧いんだよね、セックス。病み付きになってしまった。

悪いことをしてる、そんな考えが俺をもっと興奮させて、もっとその女が欲しくなってしまった。アミじゃなくて、その女を。アミに、あの女に、って。罪の意識はあった。だけどアミに気づかれてるなんて思ってもみなかったんだ。絶対気づかれていないだろうと思っていた。アミは全てを知っていた。俺の浮気、誰かと寝た、アミは知っていた。知っていた上で俺とセックスをしていた。なんて俺は馬鹿なんだろう。


アミは悪くない、悪いのは、俺だ。

愛してると何度もアミに伝えた。これでもか、というくらいに言った。何回何百回言って、何回何百回キスした。
俺があげたリングを薬指に着けたまま外さないアミ。俺はアミの薬指にいつも指輪があるのを見てどこか安心していた、そんな時期があった。アミはリングを絶対に外さないものだから、いつも身に着けているもんだと思っていた。最近着けていないことを知ったのは、俺の浮気が発覚してから。

驚いた。
もうだめだと思った。




どうして大切な人なのに傷つけてしまうのだろう、どうして大切だということをぽっかり忘れてしまったのだろう、あんなに愛して、あんなに大切にしていた、アミを。どうして俺は傷つけてしまったんだろう。

もうどうしようもなくダメな男で、涙もろいし、へなちょこだし、でもアミがやっぱりすきで。一生離したくないと思ったのに、手放すきっかけを作ったのは自分で、ほんと、どうしようもないダメダメ人間。なのにアミはこんな俺を愛してくれる。こんなに俺を、抱きしめてくれる。キスも嫌がらないでいてくれる。俺はやっぱりアミを愛していて、アミと離婚なんて考えられなくて。




「アミ、愛してる。アミ、ありがとう」

もし次俺が変なことしたらその綺麗な指で俺の首を絞めて良いから。


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