「ごめん、ごめん、アミ、俺・・・」


もういいよ、もういい。なにも言わなくていいから、ただぎゅっと、抱きしめていて。


「ディーノ、ディーノ」


涙がころころ零れ落ちる。



「もう、いいよ」
「よくねぇ、よ」
「いいの」


浮気なら許せるものだと思っていた。でも、許せるはずなかった。
浮気ならいいかなって、どこかで思ってた。本気にならなきゃいいかなって思ってた。

自分が思っているより、自分はやっぱり子供で、浮気ひとつ許せない女はだめだなんてテレビで誰かが言ってたけど、許せたらすごいものだよ。
一度許したら何回でも浮気するでしょう?きっと浮気するでしょう?ディーノはどうなのかな。浮気、また、しちゃうのかな。


「あたし、がんばるから、もっと、がんばるから」


ディーノが一生あたしを愛してくれるように頑張るから。


「アミ…」
「だから、いいの」
「俺が、悪かった。もう他のひとは絶対、見ないから」


絶対って言っても、無理でしょう。あたしは直感した。
彼はまたいつか浮気する。見えない未来、なぜか見えるような気がした。それでもそばにいたいあたしは相当盲目。恋は盲目とはよく言ったものだ。見てみぬフリをどこまでできるだろうか。


「アミしか、愛せないから。俺にはアミしか、いないから」


信じたい、どこかで信じれない。それでもそばにいたい。



出会ったころは近づきたい。
少し近づけたら、知りたくなる。
知ることができたら、話したくなる。
話したら、恋しちゃう。
恋しちゃったら、両思いになりたくなる。
両思いになったら、キスしたくなる。
キスしたら、セックスしたくなる。
セックスしたら、結婚意識しちゃう。
結婚意識したら、結婚まで行く。


どんどん欲深くなって、どんどん、束縛が強くなって、どんどんあたし、汚い女になっていく。ディーノはそれに耐えられるのだろうか、ディーノはそんなあたしを愛せるのだろうか。それでもそばにいたい。



「ディーノ、愛してる。」


浮気をもう二度としないで、なんて言えない。
言ってしまったらそれは、束縛になってしまう。束縛されたら、抜け出したくなるでしょう?だから、言わない。言わないけど心の中で強く思う。

もう二度と浮気、しないで。あたしだけをずっと見ていて。


「ずっと、そばにいたい」



もう一度強くキスをした。


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