あたしは綱吉が好きだ。好きで好きで堪らない。いい加減なキスでも、触れるだけのキスでも、激しいキスでも、なんでもいいからキスがしたい。綱吉とキスがしたい。綱吉に会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい。


夜中の二時半。あたしは眠れないでまだ起きていた。(明日講義あるのに)そんなことはどうでもいい。この際学校をやめようかとおもった。綱吉がいるから。綱吉のために時間はいくらでもつかえるけど、勉強のために時間は使いたくない。イタリアにくるまでは勉強しにきたんだ!って思ってたのにね。いつの間にか綱吉のためにイタリアに来ているような感じになってしまった。それもあながち嘘ではないとおもうけど。学校をやめることはできない。苦労して留学させてくれた親が日本にいるからだ。ありがとうおかあさん、おとうさん。あたしはいま、愛人やってます。ごめんね。


宇多田ヒカルのFinal Distanceをくちずさむ。なみだがでてきた。ぐしぐし、と目をこする。それでも水はとまらない。いつからだろう。綱吉と会えない時間は泣いてしまうようになったのは。いつからだろう。綱吉がいないと死にそうなくらいに寂しくなってしまうのは。綱吉はどうですか。あたしと会えないと、どんな気持ちですか。いつもと何も変わらない?あたしがいても、いなくても。奥さんがいるもんね。京子さんはいないけど、あたしはいるよ。あたし、京子さんじゃないけど。綱吉はあたしを、京子さんとしてみているのかもしれないけど、あたしはあたしなんだよ。京子さんじゃないんだからね。


綱吉の愛してるはいったいだれにいってる言葉なんだろう。あたしにむかって、言ってるのかな。どうなのかな。くちずさんだ音楽に、自分自身が重なる。綱吉があたまにうかぶ。綱吉に会いたい会いたい会いたい。心臓が張り裂けそうってこんなきもち。会いたくてどうにかなってしまいそう。いっそのこと掃除婦さんとして綱吉にやっとってもらおうかな。ああ、でも、奥さんと二人でいるところを見てしまったら、辛くて仕事にならないな。やっぱりこの生活を続けるしかないみたい。ベッドのシーツが湿ってきもちわるい。あたしの涙のせいだ。



パソコンの電源をつけた。まっくらな部屋がすこしだけあかるくなる。メールボックスを開いてみるが、綱吉からのメールは着ていなかった。綱吉は今なにをしているんだろう。仕事?奥さんとセックスの真っ最中?他の愛人といる?(あたし以外の愛人なんて、聞いたことないけど)あたしは綱吉のなかで何番目の人間なんだろう。わからないことがおおすぎる。不安なことがおおすぎる。今すぐ綱吉に会って、キスできたらどんなにいいことか。



一番最近にきた、綱吉からのメールを開いてみてみる。アミ、愛してるよ だって。いつも綱吉はメールの一番さいごにこの言葉をくっつける。会いたい気持ちが爆発しそうになるのを、必死に止めた。




黒闇に白い光。



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