俺のスーツの襟、握り締めて、彼女は泣いた。
嗚咽が止まらない。
優しく肩を抱いて、頭を撫でてあげたいのに、どうも力がこもってしまう。

彼女を離したくなくて、このままでいたくて。
このまま明日なんて来なければいいのに、なんて思った。


どうやら俺はアミがいない生活は考えられないらしい。
だっていま、俺の頭にある未来予想図はアミが隣にいるんだもん。





どうしようもなくなって 頭撫でるの忘れて 力いっぱい、

抱きしめてしまった。




「アミ、アミアミアミアミ、アミ」


何度呼んでも足りないアミの名前に泣きそうになる。
胸が苦しくて、名前を呼ぶだけで精一杯だ。


「く るしい、よ つなよし」


彼女はそう言って、きっと笑った。

アミって言葉以外に何もいらないと思った。
好きって言葉も、愛してるって言葉もいらないと思った。
抱きしめられるなら、アミの体温感じられるならいらないと思った。
こう思えるのはアミが近くにいるからで、いなければこうは思わなかった。

アミ。俺決めたよ。
これからイタリアに帰るよ。
そうしたらまた、アミを迎えに来るよ。

ぎゅうと瞑った目。
においだけでアミのこと、わかるよ。
体温だけで、わかるよ。
だって俺、すごくアミがすきだから、さ。

だから俺、そばにいたいんだ。
京子も愛してた、でも、アミも好きなんだ。
欲張り?
そうかもしれないけど、アミにそばにいてほしいんだ。




「つな よし  」
「なに?」
「ううん」


ゆっくりと、俺の腕の中から離れる、アミ。
繋ぎとめておきたくて、一度力を強めたけど、 やめた。


「あた、し つよく なる、よ」


と言って、弱弱しい笑顔を作った。


「俺、迎えに来るから。アミを。」




うん、約束





俺の笑顔も相当 弱弱しかったと思うんだ。

そのままアミとは分かれて、再びヘリに乗り込む。
ボンゴレ本部に戻るためだ。
それで俺、これから馬鹿みたいなことをおっぱじめようと思ってる。
革命とかそんなのじゃない。
ヒーローでもないよ、だってアミ以外のためにこんなことできないし。

ヒーローはみんなを救わないといけないけど、
俺、アミだけ救えれば十分なんだ。あと自分自身もね。

アミがいてくれればなんだっていいや、 なんて中学生みたいだな。


いつの間にか陽が傾いていた。夕方の訪れ。



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テーマ「人外ファンタジー」
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