わたしの彼氏は今をときめくアイドル、羽島幽平こと平和島幽である。これは嘘でも冗談でもなく事実。わたしが羽島幽平を知ったのは、平和島幽と出会った後、つまり彼が芸能人で、有名人だということは、彼と出会うまで知らなかった。彼と出会って、お付き合いするようになってから、やっとテレビの向こうの彼を見るようになったのだ。

彼にすごーく愛されてるってことを、わたし自身、すごく感じでいる。わたしも彼がすごーく大好き。たまに素直になれなくてそっけなくしちゃうけど、大好き。


おおっと、のろけ話はこのへんにして。

彼とお付き合いすることにあたり、ぶち当たる壁、それはパパラッチ。奴等はとてもしつこい。だけどわたしの存在がパパラッチに知れてしまったら、彼の地位はガクンと下がってしまう。だから、彼の部屋や車に忍び込んだりするときには細心の注意を払う。奴等の行動パターンを全て研究し、把握し、それに合わせた行動をわたしはする。ドアを開けるのも、明かりを付けるのも、車を降りることも、全てに注意を払う。別に大変なことじゃない。ある意味スリルを味わって、楽しんでいる。だから苦じゃないのだ。





彼は「鉄仮面」やら「冷血漢」と言われるが、わたしは鉄仮面と思ったことはただの一度もない。確かに表情は変わらないけど、彼を纏う雰囲気が変化するから、彼の心は読める。例えば食事で、苦手や嫌いなものが出たら表情は変わらないが雰囲気が変わる。口で「ブロッコリー嫌いなんだよね」と言ったりはしない。が、わかる。わたしには通じる。彼はそのことがとても嬉しいらしい。可愛いやつ。





「わたしは思うのよ、」
「何を?」
「世間は幽の表情が変わらないから考えてることがわからないって言うけどさ」
「うん」
「わたしからしてみたらテレビの中で演技をしてる幽の方が、よくわからないって」
「・・・」
「確かに良い演技してるし、どんな役もはまり役だけど、」
「うん」
「わたしは羽島幽平より平和島幽のほうが何を考えてるかわかりやすい」
「そんなことを言うのはあみくらいだよ」







彼の部屋にはわたしと同じくらいの身長の観葉植物がいる。この観葉植物はわたしがファンを装って彼の事務所の彼宛へ送ったものである。なぜここにこの観葉植物があるのか、それは彼が持って帰ってきたからに違いはないのだが、彼は送り主がわたしであると確信したから持って帰ってきたのだ。



「これ送ったのあみでしょ?」
「・・なんでわかったの」
「なんとなく」


なんとなくで片付けられてしまったが、これでわかったことがある。この人には他の人にない何かを持っているのだということが。

彼は物事に無頓着な方で、観葉植物を持って帰って来たはいいが、ちゃんと育ててくれるか心配をした。わたしが彼の部屋を訪問するときは世話をする。けど、もししばらく部屋に遊びに行かなかったら枯れてしまうのではないかと、考えていた。が、観葉植物は今もなお、枯れることはなく、すくすくと成長している。ちゃんと彼は世話をしてくれていることが、嬉しかった。

やっぱり「わたしだと思って、育ててね」って言った効果は絶大だったようだ。彼はちょっとコドモっぽいところがあると思うんだよね。そこが可愛くて好きなんだけど。


彼はキス魔だ。もしわたしがキスを拒もうとするならばとても拗ねるか、意地を張って無理やりにでもしてくる。まあ、そこが可愛いくて拒んだりもするときもあるけど、やっぱり恥ずかしい。彼はドラマとかでキスシーンもしたしてるので、とてもキスがうまいわけだが、(なんかもやもやするんだよねー)。彼の職業をちゃんと理解しているから、何も言わないことにしてる。







「あみ」
「んー?」
「いつまで俺の顔見てれば気が済むの?」


おおっと、彼がそろそろ飽きてきてしまったので、今日はこの辺で。また彼のことを紹介したくなったら紹介します。



「もう満足した。さて、幽のドラマ見ますか」
「まだ見るの?」
「うん。今日中に全部見終わってやるのだー」
「何本あるの?」
「えっと、7本くらいかな」
「見終わる?」
「・・・努力します」
「ん。じゃあ、横になりながら見よう」
「へ?」
「俺途中で寝ると思うから」
「いやいやいや、先に寝てたらいいよ」
「嫌だ」
「今日仕事で帰り遅かったじゃん」
「腕枕する」
「腕枕だって疲れるでしょー?」
「腕枕する」
「二回言わなくても」
「腕枕する」
「まさかの三回!?わかった、してもらうよ」
「うん」



寝室に移動して、部屋を真っ暗にして、DVDをつける。彼に腕枕しもらいながら見てたら、すぐに寝てしまった。彼はわたしが寝たのを確認してから眠りについたらしい。髪の毛を撫でられて、とても気持ちがよくなってしまって、眠ってしまったのだ。なんていうか、やっぱりわたし、幽が好きだな。ウン。だいすき。




(寝言で だいすきと 言われた)
(寝てるから 内緒でキスしても 気づかれないよな)
(キスだけで我慢キスだけで我慢キスだけで我慢キスだけで我慢キスだけで・・・)



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