12 29

新年特別ドラマを撮り終わった幽は長い冬休みに入り、毎日家にいてはゆっくりして過ごしていた。その休みを利用して、年末大掃除をする。幽はわたしに開けるなと耳にタコができるまで言っていたクローゼットを綺麗にしていた。途中、わたしも手伝ったけど。思い出に浸っていた幽を見ることはあまりないので、デジカメでこっそり写真を撮ったことは内緒だ。


 12 30

わたしはせっせとおせち料理を作っている。幽はわたしの隣に立ってはつまみ食いをし、そしたらこたつで寝て、少しふっくらしてきたような気がする。それを言うと幽はいきなり腹筋をし始めた。やはり俳優たるもの、体系維持は重要。またつまみ食いをしようと伸ばした指を箸でつまんで「太るよ?」と言うと「腹筋するから大丈夫」と返事をする幽は実は食いしん坊だと思う。


 12 31

今年最後の晩ご飯はすき焼き。特上のお肉を買ってきた。どこに何を入れるかとかを気にしない幽はお肉をしらたきの隣に入れたりする。それを突っ込むと「なんで?」ときょとんとした顔をする。「お肉が硬くなるからだよ」と言うと「知らなかった」と言い、それ以降、お肉としらたきは離ればなれになった。延々とすき焼きを食べているとそのうちテレビからカウントダウンが始まり、新年を迎えた。


 1 1

「あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます」
「去年はお世話になりました」
「いえいえこちらこそ」
「今年もよろしく」
「うん。よろしくね」
「なんか、早かったなぁ」
「そうだねー、一年って早かったね」
「うん。あみと知り合ってまだ一年経ってないんだね」
「それもそうだ!」
「なんか、あみとはもう何年も一緒にいる気がする」
「あーわたしもー。昔からの知り合いみたいだよねー」
「だから、こうして一緒にいられるのかもしれない」
「・・・なんか、照れる」
「なんで?」
「なんでってそりゃ」
「うん」
「幽に必要とされてるみたいで」
「いつも必要だと思ってるよ」
「うん、ありがとう」
「一緒に初詣とか行けなくて、ごめん」
「いいのいいの」
「今度神棚でも買ってこようか」
「どうして」
「初詣一緒に行けないから、神棚で初詣」
「神棚の使い方違う気がするけど・・・」
「いつか一緒に行く日のために」
「フフ、わかった」
「あ、明日はちょっと夜出かける」
「うん。わかった」
「お世話になってるスタッフと新年会があるんだ」
「了解。じゃあ明日は家に帰ろうかな」
「わかった」
「でも今日はいるんだよね」
「いるよ」
「じゃあ一緒に幽が出るドラマ見よう?」
「・・・なんか恥ずかしいな」
「楽しみだよー!それにいつも一緒に見てるじゃん」
「そうだけど」
「今日は寝ないで頑張ろう」
「とか言いつついつも寝るくせに」
「あはは」
「寝るときはベット行こう」
「こたつでいいよー」
「風邪ひくでしょ」
「うーん・・・」
「寒くない?」
「寒くないよ、幽は?」
「俺も大丈夫」
「すき焼き食べる?」
「さすがに・・・もう・・・」
「わたしは食べるー」
「太るよ」
「・・・・・・・・」
「ごめん」
「幽も食べようよ!」
「お腹いっぱい・・・」
「あれ、」
「どうかした?」
「除夜の鐘が聞こえない?」
「まさか」
「ホラ」
「ほんとだ」
「ああ、テレビからだったの」
「・・・近くに神社があるのかと思った」
「あっても聞こえないんじゃない?」
「そうかな」
「どうかな」
「ああ、あみに言い忘れてることがあった」
「なに?」
「去年も好きだったけど、今年はもっと好きになるから」
「・・・たまに幽は突拍子もないこと言うよね」
「そう?」
「そうだよ。でも、うん。ありがとう」
「後、俺の私物をちゃんと返却してください」
「・・・バレちゃった?」
「バレバレだよ」
「てへ」
「てへじゃない」
「うふ」
「うふじゃない」
「すきだよ」
「うん、ありがとう」


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -