いよいよ寒くなってきたので、コタツを出しました。

コタツの上にはかごに入った甘いみかん。急須に番茶。冬支度はバッチリだ。いつもより早く家に帰って来た俺は、彼女が来る前にコタツを出したのだ。これを見たら驚くかな、驚くだろうな。楽しみ。先にコタツにはいってぬくぬくしながら彼女がやって来るのを待つ。じんわりと体が温まってきて、少しずつ眠くなってきた。ガチャリ。玄関の開く音。あみのおでましだ。その音を聞いた俺は目が覚め、リビングの扉が開くのをまだかまだかと待っていた。


「ただいま、早かったんだね。わっ!コタツ!?」
「やっぱり驚いた」
「幽、持ってたの?」
「うん。外、寒かったでしょ、温まりなよ」
「うん」


彼女はコートをハンガーにかけ、おずおずとコタツの中に入ってきた。ほっと一息ついた彼女は嬉しそうに「あったかいねー」と言う。その顔を見て、頬の筋肉がほぐれるのが分かった。目の前にみかん。その向こうにあみ手を伸ばしてみかんを取り、わこわこと皮をむく。彼女はキラキラした瞳で、むかれてゆくみかんを見ており、「ひとふさいる?」と聞くと、全力でうなずいた。ひとふさ差し出すと彼女は大口を開け、あくんと俺の指ごと食べて見せた。


「・・・幽?どうかしたの」
「なんか、興奮した」
「は?」


指を食べられたわけじゃない。指が彼女の口に含まれただけだ。でもなんか背中がぞわぞわしてきて、


「やろう」
「え、なにを」
「こたつがくれ」
「なにそれ」
「48手のひとつだよ」
「・・・幽って人のこと変態呼ばわりするくせに、自分だって変態じゃん」
「あみのがうつったんだ」
「ほんとかなあ」
「ほら、いいからやるよ」



でも俺、イマイチこたつがくれの仕方わからないんだよね。そう言うと彼女は手を叩いて笑った。


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