「アレ?幽髪切ったの?」
「え?あ、――うん」
「もったいない」
「っていうかなんで気付いたの?ほとんどと言っていいほど切ってないのに」
「幽のことだもん、気付かないわけないじゃん」
「・・・ヘンタイ」
「何度でもおっしゃい!」


髪を切る予定はなかった。今役作りでパーマをあてていて、絡みシーンで相手の人のボタンに髪が巻きついてしまったのだ。どうやってもほどけないから、仕方なく髪の一部を切って外した。一部だけ切ったからなのかバランスが悪くなっちゃって、全体を整えるためにほんの少し切った。社長だって気付かなかったのに、このヘンタイめ。そりゃあみとはほぼ毎日会っているから、気付かれる可能性は高いのかもしれない。だけど俺自身でも変化に気付かないくらいしか切ってないのに、なんでわかってしまったんだろう。


「実はねー」
「なに?」
「わたしも髪切ったんだよ!」
「・・・ウソ」
「嘘ついてどうするのよー、ほら、前髪!前は顎のあたりまであったけど、鼻のとこまで切ったの!」
「気付かなかった・・・」


前髪を分けているせいで気付かなかったんだ・・・きっと。顎から鼻って結構長さあるよね。なんで気付かなかったんだろう。あみは俺のちょっとした変化に気付くのに、俺ときたら・・・。


「え!?なんで幽落ち込んでるの!?」
「落ち込んでなんかない・・・」
「落ち込んでるよー。あ、幽、その髪型もかっこいーよ」
「ありがとう。でもこれ、そんなに変化してないから」
「そうかな」
「そうだよ。あ、あみ」
「なに?」
「かわいいね」


とってつけたようなカワイイは嬉しくなんかないよ だなんて言うけど、そんな赤い顔して言われても、説得力無いよ。

(ちなみにカワイイっていうのは本心だからね)


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