「ねー幽ー」
「ん、何?」
「一緒にスト2しよう!」
「やだ」
「そんなこと言わないでしようよー」

やりたくない。



彼女はどこからかスーパーファミコンなんていう懐かしいものを引っ張り出して来、シャコン、とストリートファイター2と書かれたカセットを入れた。

「・・・起動する?」
「うん、たぶん」

スイッチを入れると、テレビ画面に映し出される懐かしい映像。

「う、わ・・・」
「このピコピコ感がたまらない」

彼女の手にはすでにコントローラーが握られていて、キラキラした目で画面を食い入るように見ている。確かにこのピコピコ感は嫌いじゃない。

「ほら、早くコントローラー持って!」

無理やりコントローラー握らせられた。やっぱりこうなるのか・・・。








「うわ!ひどい!」
「ハドーケン、ハドーケン」
「波動拳ばっか使わないでよ!」
「ハドーケン、ハドーケン」
「たつまきせんぷーきゃく!!!」
「うっ」
「しょーりゅーけん!しょーりゅーけん!」
「やば」
「背負い投げのハドーケン!」

うわーうわーうわーとエコーのかかったリュウの声が部屋に響く。

「ふ、わたしの勝ちね」
「いいとこまで行ったのに」

実はさっきから負けっぱなしなのは俺。今回は行けそうだったのに。あみはどうしてこう、ゲームがうまいんだろう。負けっぱなしって言うのは、男としてどうなんだろう・・・。

「もう何時間もしたからいい加減飽きたでしょ?」

さっきから休もうよ、と何度も提案しているのに、ことごとく却下された。

「ん。そろそろ目も疲れてきたし、休もうか」

だけど今回は許可のお許し。ゲーム開始直後は窓の外が明るかったのに、今じゃもう真っ暗だ。何時間ゲームしてたんだろう。彼女はキッチンに行くと冷蔵庫から缶ビールを二つ持ってきて、コップに注いだ。

「まあまあどうぞ」
「ありがとう」

こぽこぽこぽと泡立つビール。一口飲む。うまい、うますぎる。いつの間にかあみが作ってくれていたつまみをつつく。


「んーゲームの後のビールはたまらないね!」

彼女は一気にごくごくと飲み、嬉しそうな顔をした。いや、さっきからずっと嬉しそうな顔をしている。勝ちまくってるからね。それに引き換え、俺は負けまくってるし。なんか・・・くやしい。




「飲んだらもう一回するよ」
「え!?幽から誘われるなんで初めてなんだけど!」
「だって俺、負けてばっかだし」
「たしかにわたしに一度も勝ててないね」
「手加減なんかしたら怒るよ」
「しないよ」

でも結局勝てなくてイライラしたから、強制終了させてあみとイチャイチャすることにした。勝ちっぱなしで上機嫌な彼女は、俺がイチャイチャしようとしても怒らなかったので、たくさんキスをしてあげた。そこらじゅう。たまには一緒にゲームして、ご機嫌取りするのも悪くないのかもしれない。

・・・胸触ったら怒られたけど。



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テーマ「人外ファンタジー」
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