「あみ」
「・・・は!」
「もうベッド行ったら?眠たいんでしょ」
「眠たく、ない」
「眠気眼の人に言われても説得力ないよ」
「だって、寝るわけには行かないんだもん」
「もん、て」

深夜2時過ぎ。俺と彼女はソファに並んで座っている。テレビの前には積み上げられたDVD。近くのレンタル屋から大量に借りてきたもので、返却期限が迫っているらしい。延滞料金なんて払いたくない彼女はどうにかして期限までに全部見たいらしいんだけど・・・。

「また明日見ればいいだろ」
「それじゃ、間に合わないんだよ」
「眠くて仕方ないんでしょ、内容頭に入ってるの?」
「・・・ノーコメント」

彼女は俺の抱き枕を抱えながら、眠たそうな目で必死にテレビを見ている。明かりは消してあって、テレビの光だけが部屋を照らしている。眠ったり、起きたりを繰り返している。いい加減ベッドで眠ればいいのに。頑固な彼女はそれをしようとしない。

「また返して、借りればいいじゃん」
「二度手間じゃん・・・。それなら延滞料金払った方が安くない?」
「俺にはわからないよ」

俺が出てないドラマ、映画ばかり。どうやら俺が出ているものは全部見終わったらしい。マイナーなものからメジャーなものまで。ホラーからラブロマンスまで。そりゃもジャンルはばらばら。いったいどんな判断で借りてきたのだろう。

「ほら、寝室行くよ」
「いやだー」

テレビを消してもつけようとしないから、口では嫌だと言いつつも、抵抗できないほど眠たいようだ。とりあえず幽二号と名付けられた俺の抱き枕をどかし、彼女を抱き抱える。

「なにすんのよー」
「ほら、暴れない。危ないから」
「むー」
「大人しくして」
「やじゅうー」
「襲わないよ、無防備な人を」
「ほんとかなー」


ベッドに優しく寝かせると、おとなしく眠りについた。最初からこうしておけばよかったのに。


「手のかかるお姫様だなあ」
頭を撫でてやると、嬉しそうに笑う。愛しくてたまらないんだ。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -