懐かしい夢で、目が覚めた。



ストーカーと接触




結局塾から帰るころには、あの赤い髪の毛の人はいなくなっていた。ユミちゃんが言うにはあの人は帝光中学校の三年生(同い年)で、バスケ部の主将で、ボードゲームがすごく強いらしい。ファンクラブなんてものもあるらしく、それはもうモテモテなんだそうだ。そんな人がなんでわたしのことを知っているんだろう?変なの。ストーカーだっていうのは気のせいかもしれないけれど。







今日も授業が終わり、帰ろうと校門へ向かう。校門には人だかりができていて、ざわついている。関わるのは面倒臭そうだからスルー。しようと思ったのにできなかった。


「菜緒!」
「!!??」


人だかりの中心から、わたしを呼ぶ知らない声が聞こえた。まさか名前を呼ばれると思っていなかったので、心臓が止まるくらいビックリした。人だかりの声が止まって、その人たちが一斉にわたしのことを見る。なにこれ怖いんですけど・・・。というかわたしを呼んだのは一体誰なんだ。モーセの十戒みたいに人だかりがさーっと二つに分かれて、その中心から、あの人がやってくる。「うわっ」と思わず言ってしまった、だって彼にわたしは良い印象は持っていないから。というかもしかしてもしかすると、今わたしの名前を呼んだのは、彼だったのか?


「待ってた」
「ど、どちらさまですか」
「・・・覚えてないのか?」
「昨日わたしのこと付け回していましたよね?」
「覚えて、いないのか」
「え、それってどういう・・・」


彼は一瞬だけ表情を暗くさせ、すぐにさっきの顔色に戻した。彼とわたしが話を始めると人だかりはサーッといなくなって、気がつけば今二人きりだ。怖い、怖すぎる。


「仕方ない。行こう」彼はそう言うとわたしの手を取り歩き出した。一歩が大きくて、わたしは小走りになってついて行く。何なのこの人。わたしまだこの人の口から、この人の名前を聞いていないのに。だから全然知らない人なのに、わたしの自己紹介もまだなのに。なんでこの人わたしの手を握って歩いているの?

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