校門からすぐ出たところの街路樹から、チラリと赤い髪の毛が見えた。ああ、今日はあそこにいるんですか、赤司くん。



わたしの彼氏はストーカー




「バレッバレだよー」
「もう見つかったか」
「というか隠れる気ないでしょ」
「そうかもしれない」
「来るなら来るって連絡くれたらよかったのに」
「サプライズが嬉しいんだろ」
「そーやってこっそりしてるとストーカーみたいだよ」
「彼氏に向かって失礼だな」


赤司はハハハとわたしに笑って見せ、「今日は予定がないんだろ?」と言った。


「残念、今日は図書館で自主勉強の日でしたー」
「じゃあ家で勉強するか?俺が教えよう」


付き合って分かったけど、赤司はすごく頭が良い。わたしは結構勉強してる方だと思うけど、赤司は勉強していないのにすごく頭が良い。この間の模試で負けた。むかつく。ぷいっとそっぽを向いて早歩きをすると、急いで赤司は着いてきて、「一緒にいたいんだ」と言う。赤司はストレートにそういうこと言うから、弱い。







「疲れたー休憩ー」


わたしがもくもくと勉強する横で、赤司は一人で将棋を打っていた。わたしが頑なに赤司に教えてもらうのを拒否したからだ。いじけているのか赤司はわたしが話しかけても消しゴムを投げつけても(もちろん赤司は避けた)無反応で張り合いがない。わたしが今日初めて「休憩」と言ったことにさえ反応はなく、パチンと駒を打った。


「赤司ー」
「・・・」
「休憩しようよー」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「せいちゃん」
「!!!!???」
「あはは」


昔みたいにせいちゃんと呼んだら、驚いたのか勢いよく振り返り、少し赤い顔をしてわたしを見てきた。


「菜緒っ、今っ・・・」
「赤司くん、どうかした?」
「なにも」


すっと赤い顔を消して、赤司はまたパチンと駒を打った。そーっとわたしは消しゴムを投げる。どうせまた赤司は避け・・・ポコン


「いてっ」
「ご、ごめん」
「・・・」
「え、えへへ」


ユラァ・・と赤司は立ち上がり、ストンとわたしの隣に座ると、「休憩って、なにをするんだ?」と聞いてきた。いや、休憩は休憩ですけど。テーブルに肘をついて、ニコニコする赤司を横目に、わたしは問題集へ視線を落とした。わたしの走り出したペンを止めるように赤司はわたしの手を握り、顔を近づけた。わたしは急いできゅっと目を閉じる。まつ毛が重なる音がした。



いつもありがとう。わたしは今日も君に守られているようです。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -