ついに連絡先を交換しちゃいました。



ストーカーに恋




筆まめではないのか、機械類が苦手なのか、赤司征十郎から連絡が来ることはほとんどなかった。わたしのことを好きとか言っておきながら連絡をしてこないというのは、どういことなのでしょうか。まぁ連絡してこないけど、


「菜緒、迎えに来た」


毎日迎えに来てくれるんだよね。


「・・・ありがと」
「むすっとした顔で言われてもな」
「感謝してます」


もうつけられている気はしない。多分わたしを襲ってきた人が、変な気配を出していた人なのだろう。赤司征十郎は心配だからと毎日迎えに来てくれている。すべてを思い出したからなのだろうか、わたしは妙にすっきりして、勉強にも身が入るようになった。それが全部、わたしが勝手にストーカーだと思っていた赤司征十郎のおかげなのかもしれないから、おかしな話だよね。


そろそろ言ってもいいかな。


「赤司征十郎」
「どうした?」
「す、」
「?」
「滑り台乗りたい」
「公園でも行くか?」
「え、あ、うん」


なんだよ滑り台乗りたいってなに言ってるんだよわたし。
結局歩いてわたしの家の近所にある公園へ来た。昔よく赤司征十郎と遊んだ公園。古くなった遊具達が今も変わらずにある。すっかり秋になった。歩けばクシャ、と落ち葉を踏んでしまう。制服のワイシャツだって長袖になって、上にブレザーを着ている。明るいとはいえない街灯を頼りに滑り台までたどり着くと、赤司征十郎はわたしの方を向き「遊ばないのか?」と言った。「いや、この年で滑り台って、ナシでしょ」「滑り台乗りたいって言ったのは菜緒だろ」「そーだけどさ」押し問答の末、わたしは滑り台に乗ることが決まり、やだなーと思いながら滑り台の頂上へと辿り着く。こんなに低かったっけ、滑り台。もっと高かった気がするんだけど。わたしもずいぶん大きくなったもんだな。赤司征十郎の姿を探すと滑り台の下でわたしのことを待っていた。


「今から滑るよー」
「はいどうぞ」


滑り台を滑る。
短い緩やかな滑走路の先に赤司征十郎が両手を広げて待っていた。


「あのー離してください」
「断る」


なんだかなぁ。
おとなしく抱きしめられるって、それわたしのキャラじゃないでしょ。でも今のわたしはおとなしく赤司征十郎に抱きしめられている状態で、反抗する気にもなれず、ただじっとしているだけ。トクトクと聞こえる赤司征十郎の心臓の音に耳を傾けるだけ。赤司征十郎と再会した時はあんなに蝉の声が聞こえたのに、もう聞こえないな。お陰で心臓の音が良く聞こえる。


「菜緒」
「うん」
「俺が守るよ」
「うん」
「だから」
「うん」
「好きになってください」
「いや、もうとっくに好きですけど」
「!!??」
「なんだ、気がついてると思ってたのに」


赤司征十郎はばっとわたしの体を離すと、わたしの顔をまじまじと見て、もう一度抱きしめた。

わたしのキャラじゃないんだけどなぁ

もう一度そう思って、赤司の背中に手をまわした。

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -