体育祭は優勝はできなかったものの、楽しく過ごせました。



しかし


「あのー…」
「なんなのだよ」
「怒ってます?」
「…怒ってないのだよ」


なんだか緑間が怒っているようなのです。体育祭が終わってからなんか機嫌悪いなーとは思っていた。なのに引きずりすぎでしょ。もう11月ですよ。体育祭終わってからずいぶん経ちますよ。なのに緑間とわたしはなぜかギクシャクしたままで、居心地が悪い。他の人とは普通に接するくせに、わたしだけに冷たい。でかい図体した緑間が、わたしの席の前でじっとしていて動かない。なんかやだな、緑間とこういう風に全然喋らなくなったりするの。

これって喧嘩に入るのかなぁ。わたし悪いことした覚えなんて無いから、謝るのは癪だし、謝る必要もないだろう。でも緑間とずっとこのまま、そっけないまんまでいるなんて、嫌だ。



なんでそう思うんだろう?



「なんかわたしやっちゃいましたか」
「なんの話だ」
「緑間がなんか…冷たいから」
「そんなことはないのだよ」


そんなことはあるのだよばかばか緑間。


「わたしが悪かったなら謝るから、仲直りしようよ」
「喧嘩をした覚えはないのだよ」
「じゃあどうすりゃいいのさー」


どうすればいいんですか本当に。喧嘩をした覚えはないのだよとか言われちゃったら、謝ったって無駄なんだって、分かってしまったじゃないか。どーすりゃいいのさ。どーすりゃ前みたいに緑間と喋ったり、冗談を言ったりできるようになるんだよ。

ああ、あれか。
緑間はわたしのことを嫌いになったのか。
そうならば、すべて辻褄が合う。


「…悪かったのだよ」
「へっ?」


ずっと動かなかった背中が、やっと動いて、緑間がわたしのことを見た。まさか緑間がわたしに謝るなんて思ってもいなくて、驚いた。


「小松が、やれあの先輩がかっこいいだの、高尾が足が速いだの、うるさかったから」
「はい?」
「ちょっと腹が立った」
「うん?」
「だけ、なのだよ」
「え?」


それだけを言うと、緑間は前を向いた。心なしか耳が赤く見えるんだけど、気のせいかな。

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