九月です、まだ暑いです。夏休みの合宿は無事終了して、今日は、なんと、調理実習です!!ちなみに女子は調理実習で、男子はサッカーだという。こんなに暑いのに外でサッカーしたら汗だくになること間違いなしだ。調理実習でよかったーと思った。ただ問題なのはアヤちゃんが同じ班だということ…!アヤちゃんは可愛いけど、料理の腕が、うん…。料理の腕があまりよろしくない。バスケ部員たちは薄々気が付いているようだけど。合宿の時はわたしが頑張ってカバーした。今日も頑張ってカバーするぞ!




★★★





「エプロン着て思ったんだけどさ」
「うん?」


「緑間ってエプロン着たらパパっぽくなりそうじゃない?」とわたしが言うと、アヤちゃんは一瞬ポカーンとした表情をした後すぐほっぺたを膨らまして、笑いを堪えているようだ。想像したんだろうな、エプロン姿の緑間を。エプロン姿の高尾は、料理できる彼氏みたいな立ち位置になれそうだけど、緑間は絶対パパ寄りだ。間違いない。

調理実習のメニューはマフィンで、分量を間違えないようにしないといけない。アヤちゃんの行動を逐一監視して、間違いを犯さないようにする。分量通りに材料を揃え、レシピ通りに調理した。多分大丈夫なはず…。オーブンにマフィンを入れて、焼いている間に窓の外を眺める。ちょうど男子がサッカーをしていた。あ、緑間だ。サッカーできるんだ。エプロン姿を思い出して、笑いが込み上げてくる。どうやらそれはアヤちゃんも一緒らしい。肩をプルプル震わせていた。ピーッと笛の音が聞こえたと思ったらチームが交代するようで、アヤちゃんに気がついた高尾が走ってこっちにやってきた。つられて緑間もやってくる。窓を開けると高尾がにんまりと笑ってアヤちゃんに言った。「俺にマフィンちょうだい!」…美味しくなかったらごめんよ、高尾…。心の中で謝った。


「いいけど、高尾くんって甘いの大丈夫だっけ?」
「だいじょうぶ!スキ!」


そのスキがどう考えても甘いものスキじゃなくて、アヤちゃんがスキにしか聞こえなくてどうしようかと思った。二人のやり取りを見ていると、緑間と目があった。なんとなく視線を感じるなーと思ったら緑間だったのか。


「…何?」
「…美味しくできたのか?」
「たぶんできたと思う。なに、食べたいの?」
「そんなこと一言も言ってないのだよ」
「そーですねーじゃああげない」
「真ちゃん、欲しい時は欲しいって言わないとダメだろ」
「そうだよ緑間くん!」
「何なのだよ、お前たちは」


本当です、何なのだよお前たち(高尾とアヤちゃん)は。付き合ってるんですか付き合ってないんですか、どっちですか。


「余ったらあげる」
「しかたなくもらってやる」
「上から目線ウザイ」
「うるさいのだよ」


緑間とのこういうやり取り、実は嫌いじゃなかったりする。


「可愛げがない」
「緑間に言われたくない」


前言撤回。やっぱむかつく。

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