六月です。ゴールデンウィークにあった合宿でしごかれたわたしはダイエットに成功しました。ありがとう緑間。途中ぶっ倒れて緑間に介抱されたらしいけど、何も覚えていない。何だ、優しいところあるんじゃん、緑間。

さっきも言ったけど六月です。蒸し暑いです。毎日毎日雨。湿気のせいで髪の毛はうねるし、もう最悪。席替えして緑間がわたしの前の席になった。前が見えない、もう最悪。緑間はさらっさらの髪の毛をしている。直毛とか羨ましいんですけど。いいなー。窓際の席のせいなのか、開け放たれた窓のせいなのか、この席は湿度が高いように感じる。授業中、頬杖ついて窓の外を見てため息をついた。




★★★





「あっれ、緑間なにしてんの?」
「小松か。何って立っているのだよ」
「それは見たらわかるよ」


帰ろうと昇降口へ行ったら緑間が立っていた。いつも一緒にいる高尾がいなくて少しだけ違和感を感じる。緑間はふぅと息を吐いて、「今日は部活がオフなのだよ」と言った。だから高尾と一緒にいないのかな。毎日一緒に登下校してるわけじゃないんだね。いつも一緒にいるから、ちょっと変なことを考えてしまっていたけど、それはないんだよね。・・・多分。


「高尾は?今日は一緒じゃないの?」
「あいつはアヤさんと帰って行ったのだよ」
「アヤちゃん!?どういうこと!?」
「傘を忘れた高尾を自分の傘に入れて帰って行ったのだよ」
「相合傘ってヤツ?」
「そういう風にも言えるな」


今朝は晴れていたから、朝練があった高尾は傘を忘れたのかな。チャリアカー漕ぐのに傘なんてねぇ?高尾が忘れたってことはもしかして・・・。


「緑間も傘忘れたの?」
「!!」
「人事を尽くして天命を待つ、だっけ」
「…うるさいのだよ」


あの緑間がミスをするなんて珍しい。


「しかたないなぁ」


わたしは下駄箱から自分の靴を取り出し、緑間を置いて外へ出る。傘をパン!と開き、緑間の方へ向き直った。


「入れてあげるよ」


・・・この男を入れて濡れずに帰られるなんて、無理だと思うけど。

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