アヤちゃんと恋話をしてから一カ月経ちました。

今日はバレンタインデーです。

全国の乙女のみなさん。

頑張りましょう!!!(わたしも頑張る!!!)







アヤちゃんとバスケ部の練習をギャラリーから眺めている。
緑間はモテるんだなぁと実感した一日だった。朝後輩の女の子たちに囲まれ、昼に同級生の女の子に囲まれ、放課後先輩に囲まれる。ハーレムじゃん。緑間はもらえるものはもらっておく主義なのか、断らずに全部受け取っていた。どうするんだそれ。二年生になってすぐのころは緑間のこと良く知らなかったから、どれくらいおモテになるのか分からなかった。良く見ると顔整ってるし、背高いし、頭良いし、バスケうまいし、モテないはずがないよなぁ…。右手に持ってるガトーショコラの入った紙袋がやけに重たく感じられる。

渡せられるかな、これ。




★★★





アヤちゃんは部室のところで高尾を待ってると言い、行ってしまった。さてどうしよう。たくさん部員のいるところに突撃する勇気はわたしにはない。それ以前にあんなにいっぱいチョコもらって、さらにわたしのなんて、もらってくれるのかな。嫌がられたりしないかな。一人で勝手に落ち込んで、とぼとぼ歩いて、気が付いたら校門にいた。もういいや、ここで待っていよう。冬だけあって、外は寒い。ふうと息を吐いて、マフラーに顔をうずめる。緑間まだかなぁ。


「さすが緑間だねー」
「そんなことないのだよ」
「どうやって食べきんの?」
「意地で」
「意地かよ!」


わいわいと喋り声が聞こえる。そこに緑間がいるのは間違いなかった。どうしよう。どうしよう。どうやって呼びとめよう。隠れるようにしゃがむと、わたしに気がつかず緑間は行ってしまった。暗いしね、わたし隠れたしね、気がつかないのも無理ないかもしれない。

ここで、終わりなの?

手に持ったガトーショコラ。アヤちゃんと二人で作ったガトーショコラ。


「み、緑間!」
「!?」
「呼ばれてんぞー」


立ち上がって、精一杯の声で緑間を呼びとめる。そのことに気がついた部員たちは空気を読んだのか、緑間だけを置いて歩いて行く。


「小松」
「あの、その、えっと」
「どうかしたのか?」
「〜〜〜〜〜」
「具合でも悪いのか?」


優しくされると、困る。



「好きだバカっ!」


ぐいっと緑間の胸にガトーショコラを押しつける。紙袋に入っているから、緑間はこれがなにか分かっていないだろう。

好きだバカって、可愛くないなぁ。

言い逃げ上等、緑間が受け取ったことを確認したわたしは走り出した。いや、走り出そうとした。走り出せなかった。緑間が鉄壁のディフェンスでわたしの行く手を阻んだのだ。オフェンスチャージ取られてしまうくらいの勢いで緑間の胸に飛び込む。あ、ガトーショコラ潰れちゃった?


「もう一回」


緑間の声が耳に響く。


「マタローのくせに、生意気」
「俺をマタロー呼ばわりしても許されるのは、お前くらいなのだよ」



なにこれ、やばい、どうしようすごくすごく


「好きだバカ…」

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テーマ「人外ファンタジー」
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