正月。テレビを見ながらおせちを食べて、悠々自適に冬休みを謳歌する。宿題はあと少しで終わる。ゆっくり年末年始を過ごすために実は計画的にやっていたのだ。こたつの中でごろごろしているとアヤちゃんから電話がかかってきた。


「あけましておめでとうミホちゃん」
「あけましておめでとうアヤちゃん」
「これから初詣に行かない?」
「行く行く!」
「じゃあ1時間後に学校集合!」


なぜに学校なんだろうという疑問を抱えたまま準備をし、時間きっかりに学校へ着くとそこには緑間と高尾とアヤちゃんがいた。


「お待たせー」
「遅いのだよ」
「時間ぴったりでしょ」
「真ちゃんが来るの早すぎんだよ」
「そろったことだし、行こっか!」


高尾がアヤちゃんの隣に並んだことにより、わたしは緑間の隣で神社まで歩くことになってしまった。電車での出来事を思い出さないようにしていたのに、思い出してしまって緑間とうまく喋ることができない。どどどどどどうしよう…。


「宿題は終わったのか?」
「もうちょっとで終わる」
「意外だな」
「失礼な、こう見えても計画的です。そういう緑間はどうなのよ」
「もうとっくに終わっているのだよ」
「さすが秀才」
「小松に言われるとなぜか頭に来るのだよ」
「なんでよ!」


あれ、不思議とちゃんと喋られるじゃない。
・・・・・にまにましながらわたしのこと見ないでくれませんか、高尾にアヤちゃん。




★★★





神社に着き、人混みにまぎれ、行列に並び、やっとのことで本堂へ辿り着く。お賽銭をして両手を合わせた。

何を願おう。

ちらりと隣を見ると、緑間が静かに何かを祈っていた。祈ってるかどうかはわからないけど、わたしにはなにか願い事を祈っているように見えた。


(緑間の願い事が叶いますように)


とお願いした後に、思いついたように来年もこの四人が同じクラスになれますように、と祈った。二つもお願いなんて、神様はわたしを我がままだと思うかな。




★★★





神社で初詣をした後、アヤちゃんに話があるの、と言われて、男二人と解散した。向かった先は学校帰りに良く行くカフェで、注文したミルクティとカフェラテが届いてから、綾ちゃんは口を開いた。


「…ミホちゃん、緑間くんのこと好きでしょ」


口に入れたカフェラテを吹き出さないように飲み込むと、変な所に入ったらしく、盛大にむせた。アヤちゃんは「大丈夫!?」と心配そうにナプキンを渡してくれた。


「ありがと」
「ううん。それで、好きなんだよね?」


そんなまっすぐ見つめられたら照れるじゃん。って茶化そうとしたのに、それはできなかった。アヤちゃんがすごく真剣な目をしていたから。


「好き……たぶん」
「やっぱり!」
「なんか嬉しそうだね、アヤちゃん」
「嬉しいよー」


うふふと笑うアヤちゃん。可愛いなぁ。


「こうなったら告白するしかないね!」
「告白!?」
「絶対うまくいくよ!」
「え、でもわたし好きだと思ったのは最近だし、好きかどうかもまだ微妙だし…」
「恋はね!告白してからが勝負なんだよ!」
「ど、どういうことですか」
「ふられても、あきらめない!」
「アヤちゃん、かっこいい!」
「わたし、応援するからね!」
「ありがとう!!!」
「だからミホちゃんも応援して、わたしを」
「???」
「高尾くんがね、その、好きなんだけど…」
「…付き合ってるのかと思ってた」
「まだだよー」







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