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吹雪の内側をまさぐる指が動く淫靡な水音と、鼻にかかった愛らしい喘ぎ声が寝室に充満していく。
吹雪の潤った内壁は複数の指を柔らかく呑み込み、掠れた声に「はやく…」と痺れを切らしたように呼ばれた俺は、含んでいた吹雪の胸元の突起から唇を離し、埋めていた顔を上げた。
「…………」
吹雪の緩く開いた白い脚までを躊躇いがちな視線でなぞると、やけに細くて小刻みに震えて痛々しく感じる。
それでも歯止めの効かない体を華奢な脚の間に割り込ませるように覆い被さると、組み敷かれた吹雪と目が合いハッと胸を突かれた。
「…ごめ…んね……」
「…………?」
灰碧の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「僕が…………小さいから…」
「吹雪?」
吹雪は哀しそうに眉をひそめて、目を伏せ
「先生は…罪悪感を……感じて…」と言葉を詰まらせ
「僕の体がもっと大きくて、柔らかくて…………包んであげられる体なら良かったのに」と
幾筋の涙でこめかみを濡らすから―――
「もう先生じゃない」
躊躇いを振り切るような俺の声に、ぱちりと開いた瞳。
その奥をじっと捉えるように見つめ、俺はゆっくり首を横に振った。
そして両方の瞼にひとつずつ口づけながら吹雪の骨盤を片手で支えて、吹雪の中へと渇望に焦がれる昂りを一気に押し込んでいく。
「っ―――」
ソレは潤いに導かれて、絡むような圧力のなかに根元まで沈み、吹雪が息を呑み身体を僅かに反らす。
その瞬間、あまりの快感に俺の全神経が陶酔に襲われ戦慄した。
「動かすぞ…」
「ん…………くっ///」
止まれない。
眉をひそめて歯をくいしばる吹雪のけなげな "覚悟" にそそられるように腰を前後に動かし始めれば
「ぁふ///はぁ…………っ」
と余裕ない端ぎ声が、結んだ形の良い唇の間から珠玉のように漏れる。
「声を…出していい。力を抜いて……俺に任せろ…」
その言葉に素直に弛緩する吹雪が可愛い。
やがて、その無垢な身体は甘い声を漏らしながら律動につられて細腰を微かに揺らしはじめる。
「綺麗…だ…」
辛くないか?とか 痛くないか?とか。
訊きたいことは他にあるのに。
何故か出るのは夢中な煽り文句ばかりで我ながら呆れるが、加速するばかりで。
「吹雪のなか…凄くイイ」
と耳朶を吸い上げながら囁くと、内側がきゅっと反応して、艶かしく頬が朱に染まるのが美しくて。
「もっと…………奥、いいか?」
とキスで首筋をなぞり、腰を両手でぐいっと引き寄せて突けば、深い角度で内側の肌に喰い込み快感が脊髄を遡上する。
「ぁ///いぃ……しゅ…や」
言葉にならない声を発しながら、細い顎を頷くようにつき出し、抱えた腰が何度も痙攣した。
そしてしなやかな腕がまだ俺の首にしがみつき耳元で「もっと///」とねだるから…………
「くっ……」
キツい奥にさらに捩じ込むように何度か突くと
「あっ……ぁあっ、はぅっ///」と嬌声とともに締め付けがきつくなり
「ぁあっ」
と短かい悲鳴とともに、生温い飛沫が密着した二人の肌を濡らす。
「フッ…………無理するな…壊れるぞ」
「っ…………ぁっ…………あっ…いぃ///」
聞き分けのない身体はまだ俺にしがみつき、甘ったるい切なさを増す啼き声で誘うから…………
俺も律動を速めていき、吹雪の最奥で熱を放つ。
か細い躰を犯す罪悪感はいつしか掻き消え、穢れない新雪に埋もれていくように堀り下げたい欲求に限りはない。
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どくん、どくん…………と、僕のナカで脈打つイシド先生の体の一部をすごく愛しく感じる。
「まだ復習を……したいのか」
また少し芯を持っている僕の先端を、先生の指先が弄ぶように撫でるから
「ひぁっ///」と声をあげて身を捩ると、先生は、フッ…………と笑って「ここ触ると中もすごく反応するんだな」と呟くから、恥ずかしくなってかぁっと赤くなる。
抜いてよ///と言おうとした口をキスで塞がれた。
優しく歯列をなぞり、割って入ってきた舌がそのまま僕の舌を絡め取って甘く溶かし撫でるから、また結合部がキュンと反応するのが…………彼に伝わってない筈は無くて///
「…んっ…………ふ///も…やだ」
と思わず腰を浮かすと、不意に結合が解かれて
僕は頼りない無重力感の中に放り出される。
「あ///」
油断したスキに、今度は指が入ってきた。
「あっ///も…………や…ぁ」
気づけばまた僕の前をロに含まれたまま吐精して。
後ろからは、先生の長い指に弄られて掻き出された白濁がトロリと出てくるのがわかる。
「もう…先生の…………えっち///」
「先生じゃない、と言ってるだろう」
悉く攻められ、落とされ尽くした弱点を、もうひとつも隠す気カさえ甘く削がれてる。
そして―――
濡れて、痺れて、陶酔にふるえていうこときかない躰を彼に無防備に開いたまま僕は
すぅ…………っと眠りに落ちた。
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