イシド先生と吹雪くん | ナノ
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卒業式。
教え子である゙恋人゙を無事に雷門高から送り出した。

クラスの謝恩会で夕食を済ませ家に戻った…と連絡があった時、もう先に寝ておけ…とメールを返しておいたのが、夜8時前のことだ。

その後、俺がそっと帰宅したのが0時過ぎ。

一番に吹雪の部屋を覗くと、言いつけ通りにすやすやと寝ているあどけない寝顔が見えて、ホッと肩で息をつく。

そこには安堵と…落胆のような、複雑な気持ちが入り交じっていた。


「ねぇ。いつ僕を抱いてくれるの?」
「ひとまず卒業してからだ」

そんなやり取りをこのひとつ屋根の下で、何度交したことだろう。

二人、惹かれあったままとうとう、卒業という節目を迎えてしまった吹雪との間に、俺の欲情を押さえられる堰は、跡形もなく取り払われてしまった。

だが、だからと言って……
心置きなくなだれ込める程吹雪の身体は熟していない。

進路だって、ずば抜けたサッカーの才能はあるが、Jではなく自分のプロ時代の人脈を便りに大学に進学させることにした。

それだって、華奢な身体の酷使ですでに何回かやっている怪我を考慮してのことだ。

そこまで大事にしている身体を、さて自分のこととなれば快楽のために抉じ開けて情事を楽しむのか……?
それにはさすがに後ろめたさがあった。


卒業式の片付けを終えてからも、
年度末の報告会の資料や、来年度から務める部活の顧問関係の打ち合わせ………予めこの日を狙って夜遅くまで仕事を詰め込んでいたのは

吹雪に会うのが、怖かったから。

職員室で何百回もため息をついて、気持ちを整理してきたんだ。

急ぐな、思い止まれ……と。



熱いシャワーを浴びて、答えのない葛藤を昇華しようとする。

吹雪が好きだ。

好きだから、壊してしまうのが怖い。
俺を信じていつも身を委ねてくれている柔らかい笑顔を、苦痛で歪めるのが怖い。

恐怖で立ち竦むなんて柄じゃない。
いい大人が…情けないが
これが今の俺だった。


カタン………とドアがあく音がしてハッとして振り返ると同時に、
吹雪がシャワーの下の俺の腕の中に飛び込んでくる。

「おいっ………パジャマが濡れるぞ」

吹雪は首をぶんぶんと横に振って俺の胸にかじりつきながら呟く。
「怖い夢……見た」と。

敏感なヤツだ、と胸が痛んだ。

何故なら、不安げに揺れる蒼ざめた瞳は、俺の心まで覗き込むように「ねぇ………僕を避けてる?」と訊くから。

「……………」

答えに詰まって、俺は
吹雪の冷たい唇にキスをした。
その吸い込まれそうな柔らかさに目眩しながら………


チュ………チュパ…………クチュ……

「びしょ濡れだな…」

深いキスの息継ぎと一緒にそう囁いて
重くなったパジャマをタイルの床に落とす。

「………って……」

「え……?」
吹雪が背伸びして首に腕を巻き付け耳許で囁いた言葉を問い直す。

「……洗って」

「…………?」

風呂は済ませたろ?と眉をひそめて訊くと
恥ずかしそうに首をかしげて目を伏せながら

「うぅん………僕のナカ」と。

「はあ?!」と聞き返しながらも既に反応してしまう下半身が恨めしい。

「待て、それは改めてゆっくり…」
「やだよ。いっぱい待ったもん」

ぴたりと身体を寄せられて
興奮を隠すのを諦める。


「先生の……挿れてほしい」

「っ………」

昂りをするりと撫でられて
観念するしかない。


ディスペンサーから泡立った石鹸を手指に絡めて、吹雪の柔らかい臀部を撫でながら後蕾に中指を
そっと滑り込ませれば……

「ぁう………っ」

今までは入り口を優しく舌で撫でたり、入れても指先で少し弄ぶ程度だったのに
吹雪のそこは、初めての侵入をしなやかに奥まで受け入れていく。

「痛くないか」
「だいじょぶ……ぁあっ」

きゅ…と指を締め付ける大人びたナカの反応に
胸がドキッと高鳴った。

「……おく……あついよ」

「熱い?」
「ん……むずむずして……くるしぃ」

「っ吹雪……」

膝を震わせてガクンと崩れそうな身体を抱き止めるようにして、そっと人差し指も増やす。

「………ああっ……いい……」

艶かしく頬を紅潮させて
半開きの唇で「もっと…」とせがまれた瞬間、理性の糸がプツリと切れる。


「まえ……イタいよぅ」

「ん……これか」

張り詰めてしまっている白い性器に気づいて、
ナカを弄ったまま擦りあげると悩ましい吐息と共に密着した肌の隙間で白い泡と白濁が儚く散った。



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